平成29年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 マイワシ 魚種写真
学名 Sardinops melanostictus
系群名 対馬暖流系群
担当水研 西海区水産研究所

生物学的特性

寿命: 7歳程度
成熟開始年齢: 2016年時点で1歳(25%)、2歳(100%)、環境や資源水準により変化する
産卵期・産卵場: 1~6月、低水準期では主に五島以北の沿岸域、高水準期では薩南海域をはじめとする広域
食性: 仔魚期にはカイアシ類などの動物プランクトン、成魚期には動物プランクトンと珪藻類などの植物プランクトン
捕食者: 大型の魚類や海産ほ乳類および海鳥類など

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漁業の特徴

まき網、定置網、棒受網などで主に春季と秋季に漁獲される。主な漁場は、親魚、当歳魚ともに沿岸域である。韓国などの外国漁船もマイワシを漁獲しているが、本系群との関係は不明である。

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漁獲の動向

漁獲量は、1983~1991年には100万トン以上で推移した。その後は急速に減少し、2001年には1,000トンまで落ち込んだ。2004年以降は増加に転じた。2014年は0.9万トンと大きく落ち込んだが、その後回復し、2016年は6.1万トンであった。海区別では、日本海西区における2016年の漁獲量が2015年より減少したのに対して、日本海北区および東シナ海区の漁獲量は前年より増加した。韓国の漁獲量は近年少なく、2016年の漁獲量は5,000トンであった。

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資源評価法

1960~2016年までの年齢別漁獲量に基づいたコホート解析により資源量を推定した。2004~2016年の資源量指標値(産卵量、境港まき網の単位努力量当たり漁獲量(CPUE)、ただし2014年を除く)を用いて2016年の漁獲係数をチューニングした。2014年は漁場となる沿岸域への来遊が極めて少なく、資源量指標値はその年の資源量および親魚量を指標していないと考えられるため用いなかった。

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資源状態

資源量は1988年に1,000万トンを超えたが、2001年には1万トンを下回った。2004年以降から増加し、2016年の資源量は27.6万トンであった。親魚量は2004年以降から増加傾向にあり、2016年には15.3万トンとなった。 加入量は2004年以降から増加傾向にあり、2010、2015年で多かった。 再生産成功率は、資源高水準期に低く、それ以降では変動が大きい。近年では2010年に高い値を示した。再生産関係より、親魚量10万トン未満では良好な加入が期待できないため、親魚量10万トンをBlimitとした。また、近年における資源量が最低であった2003年前後の資源量推定値より、資源量5,000トンをBbanとした。資源水準の高位と中位の境界は1980年代~1990年代前半が高位に相当するように親魚量100万トンとした。中位と低位の境界はBlimitとした。2016年の親魚量、資源量はBlimit、Bbanを上回っており、資源水準は中位、動向は直近5年間(2012~2016年)の資源量の推移から横ばいと判断した。

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管理方策

2016年の資源量および親魚量はBbanおよびBlimitを上回っていることから、現状での親魚量を維持または増大させることを管理方策として2018年ABCを算定した。現状の漁獲圧の維持(Fcurrent)、親魚量の増大(F40%SPR)と親魚量の維持(Fmed)の漁獲シナリオの下でABCを算定した。FcurrentおよびF40%SPRでの漁獲を続ければ親魚量の増加が、Fmedで漁獲すれば親魚量の維持が見込まれる。
資源量(2018)=392千トンを仮定、 親魚量(2016)=153千トン、 Blimit=100千トン
漁獲シナリオ
(管理基準)
Target
/Limit
2018年
ABC
(千トン)
漁獲割合
(%)
F値
(現状の
F値からの
増減%)
2023年の
親魚量
(千トン)
(80%区間)
確率評価(%)
2023年に
2016年親魚量を
維持
2023年に
Blimitを
維持
現状の
漁獲圧の維持
(Fcurrent)
Target 57 15 0.20
(-20%)
509
(190~959)
96 99
Limit 70 18 0.25
(±0%)
400
(148~755)
89 98
親魚量の増大
(F40%SPR)
Target 64 16 0.22
(-10%)
451
(155~807)
91 98
Limit 78 20 0.28
(+13%)
344
(128~654)
83 96
親魚量の維持
(Fmed)
Target 80 20 0.29
(+16%)
331
(116~624)
81 93
Limit 96 25 0.36
(+45%)
234
(86~437)
63 85
定義
  • Limitは各漁獲シナリオの下で許容される最大のF(漁獲係数)値による漁獲量、Targetは資源変動やデータ誤差に起因する評価の不確実性を考慮し、各漁獲シナリオの下で、より安定的な資源の増大または維持が期待されるF値による漁獲量
  • Ftarget = α Flimitとし、係数αには標準値0.8を用いた
  • Fcurrentは2007~2016年のFの平均値
  • F値は各年齢の平均値
  • Fmedは不確実性の高い最近年(2016年)を除く、2006~2015年の再生産成功率の中央値(RPSmed=20.8尾/kg)に対応する漁獲係数
  • 漁獲割合は2018年の漁獲量/資源量
  • 漁獲シナリオにある「親魚量の維持」は中長期的に安定する親魚量の維持
  • 2017年以降の加入量は、2006~2015年の再生産成功率の中央値(RPSmed=20.8尾/kg)に親魚量を乗じて求めた
コメント
  • 本系群のABC算定には規則1-1)-(1)を用いた
  • 海洋生物資源の保存及び管理に関する基本計画第3に記載されている本系群の中期的管理方針では、「大韓民国及び中華人民共和国等と我が国の水域にまたがって分布し、大韓民国及び中華人民共和国等においても採捕が行われていることから、関係国との協調した管理に向けて取り組みつつ、資源の維持若しくは増大することを基本に、我が国水域への来遊量の年変動も配慮しながら、管理を行う」とされている

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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期待される管理効果

漁獲シナリオに対応したF値による資源量及び漁獲量の予測:設定した加入量条件のもとでは、F40%SPRおよびFcurrentで漁獲を続ければ資源量は増加する。Fmedでは、2018年以降ほぼ横ばいで推移する。

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将来予測シミュレーション

加入量変動の不確実性を考慮した検討:加入量変動が親魚量に与える影響を見るために、2017~2027年の再生産成功率を仮定値(20.8尾/kg)の周りで変動させ、Fcurrent、F40%SPR、Fmedのシナリオについて1,000回のシミュレーションを行った。FcurrentおよびF40%SPRでは、5年後に2016年の親魚量を維持する確率、Blimitを維持する確率ともに83%以上であった。Fmedでは2023年に2016年の親魚量を維持する確率が63%以上、Blimitを維持する確率は85%以上となった。

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資源変動と海洋環境との関係

マイワシの資源変動については海洋環境変動との関係が指摘されている。対馬暖流域においては、再生産成功率の対数(lnRPS)の変動と、冬季のモンスーンインデックス(MOI:イルクーツクと根室の海面気圧差、季節風の強さの指標)、北極振動(AO:冬季北半球の大気循環の変動パターン)の指数との間に相関関係が認められている。例外もあるが、AOについては正負を逆にした場合にlnRPSの動向と同調する傾向がみられる。これらの関係から、季節風の強さや水温などの環境要因がマイワシの加入に影響していると考えられている。

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執筆者:安田十也・黒田啓行・林 晃・依田真里・鈴木 圭・高橋素光

資源評価は毎年更新されます。