平成29年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 ニシン 魚種写真
学名 Clupea pallasii
系群名 北海道
担当水研 北海道区水産研究所

生物学的特性

寿命: 6~7歳(地域性ニシン)、10~18歳(北海道・サハリン系群)
成熟開始年齢: 2歳(100%)(地域性ニシン)、4歳(50%)(北海道・サハリン系群)
産卵期・産卵場: 1~5月(地域性ニシン)、3~5月(北海道・サハリン系群)、5~6月(テルペニア系群)、地域性ニシンは北海道沿岸域や汽水湖沼域で産卵、北海道・サハリン系群はサハリン沿岸で産卵
食性: カイアシ類、端脚類、オキアミ類、魚類(卵・仔稚魚を含む)
捕食者: 大型魚類、頭足類、海産哺乳類

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漁業の特徴

漁獲は沿岸漁業と沖合底びき網漁業(沖底)による。沿岸漁業では、各地の汽水域やその周辺海域に生息する湖沼性ニシンと日本海側の石狩湾系群によって構成される地域性ニシンを主な対象として、刺網や小型定置網により漁獲される。沖底では、日本海及びオホーツク海における水深100~200mの海域で漁獲量が多く、太平洋における漁獲量は少ない。漁法や漁期、水域により産卵群、索餌群もしくは越冬群など、漁獲対象は異なる。

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漁獲の動向

19世紀末~20世紀初頭には北海道・サハリン系群が大規模な資源を形成し、漁獲量は年間40万トン以上を記録した。しかし、同系群は20世紀中頃に減衰して以降、一時的に豊度が高まった場合には我が国沿岸へ来遊し、漁獲量を増加させることはあるものの、1975年以降の年間漁獲量は1万トンを下回ることが多い。近年は、主に地域性ニシンを対象とした沿岸漁業が好漁である。2016年の漁獲量は7,531トンであった。

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資源評価法

北海道・サハリン系群は20世紀中頃まで毎年のように豊漁をもたらしたが、近年は同系群の来遊によると考えられる漁獲量の増加は頻繁には起こらず、本資源は北海道周辺各地で産卵して発育する地域性ニシンによって支えられている。このため、北海道・サハリン系群が減衰した後である1975年以降の漁獲量に基づいて資源評価を行った。

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資源状態

資源水準は、1975~2016年の漁獲量を平均した値を50として各年の漁獲量を指標値(資源水準値)化し、70以上を高位、30以上70未満を中位、30未満を低位とした。2016年の資源水準は、資源水準値が48.7となったため中位と判断した。動向は、直近5年間(2012~2016年)における漁獲量の推移から増加と判断した。2015年まで低位で続いた資源水準が中位となった要因としては、沿岸漁業による漁獲量の増加が挙げられる。日本海側の石狩湾系群では、近年の主な漁獲対象は1~2歳魚ではなく3歳以上の個体であり、これにより産卵親魚量が維持されているため、資源量が増加したと考えられている。太平洋側では、厚岸漁港地先に分布する湖沼性ニシンの2012年級が多く加入したため、資源量が増加したと考えられる。

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管理方策

北海道周辺各地の地域性ニシンを主要な漁獲物とする沿岸漁業の管理が重要である。沿岸漁業による漁獲量は増加傾向にあるが、海洋環境の変化等が今後の資源状態に影響を及ぼす可能性は否定できないため、また、親魚量が著しく減少すると卓越年級群が発生しにくくなるため、小型個体を保護する取り組みを続けていくことが不可欠である。種苗放流は地域性ニシンの分布域において広く行われてきているが、稚魚期までの生残が加入量変動に大きな影響を及ぼすと考えられるため、産卵場・保育場となる沿岸域や汽水湖沼域の環境保全と並行して進める必要がある。

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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執筆者:横田高士・千村昌之・山下紀生

資源評価は毎年更新されます。