令和元年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 タチウオ 魚種写真
学名 Trichiurus japonicus
系群名 日本海・東シナ海系群
担当水研 西海区水産研究所

生物学的特性

寿命: 8歳程度
成熟開始年齢: 1歳(40%)、2歳(80%)、3歳(100%)
産卵期・産卵場: 産卵盛期は、日本海西部海域では秋期、東シナ海では春期。産卵場は主に黄海・渤海含めた中国沿岸及び我が国沿岸
食性: 小型個体は小型甲殻類、中・大型個体は小型魚類
捕食者: 共食い(越冬期、産卵期に多い)

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漁業の特徴

1980年代まで我が国の漁獲量の7~8割を以西底びき網漁業(以西)が占めていたが、近年は大中型まき網漁業(大中まき)、沿岸域でのひき縄釣漁業(ひき縄)、一本釣などの釣漁業、およびその他の漁業(はえ縄、定置網など)が主体となっている。 対馬海峡周辺および日本海では沖合底びき網漁業(沖底)でも漁獲される。 地域別ではひき縄が盛んな長崎県や熊本県の漁獲が多い。 我が国の他、中国、韓国により漁獲される。 2016年6月まで日韓暫定水域を除く我が国EEZ内で韓国船によるはえ縄漁業が行われていたが、同年7月以降は行われていない。

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漁獲の動向

我が国の漁獲量は1960年代には最大5万トンを超えたが、2018年は2,050トンとなった。 以西の漁獲量は、1967年に5万トンを超えた後、同漁業は徐々に衰退し、近年は50トン未満で推移しており、2018年は28トンであった。 沖底の漁獲量は、1960年代は2,000トンを超えていたが漸減し、2018年は50トンとなった。 その他、大中まき、ひき縄等の漁獲量も一時は増加したものの近年は増減を繰り返しながら推移しており、2018年はそれぞれ610トンおよび333トンであった。 韓国の漁獲量は、1991年以降10万トンを下回り、2018年は4.9万トンであった。 中国による南シナ海も含めたタチウオの漁獲量は2017年は101万トンで、近年は100万トン以上で推移している。

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資源評価法

多変量自己回帰状態空間モデル(MARSSモデル)を用いて、以西の統計値、および1986年以降主に冬期(11~12月)に東シナ海で実施されている東シナ海底魚資源分布生態調査の1網当たりの漁獲量データ(CPUE)から東シナ海海域の資源量指数、および沖底の統計値から対馬海峡~日本海南西部海域の資源量指数を推定し、水準の判断に用いた。 また、これらMARSSモデルによって推定した本種の資源量指数に加え、2012年以降利用可能な大中まきのCPUE、および1996年以降の長崎県ひき縄のCPUEを用いて、相乗平均による本系群の資源量指標値を求め、動向を判断した。

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資源状態

以西および調査船調査データをもとにMARSSモデルにより推定した東シナ海の本種の資源量指数は、2001年以降極めて低い値で推移している。 同様に沖底をもとに推定した対馬海峡~日本海南西部海域の資源量指数も1977年以降極めて低い値で推移している。 これらそれぞれの最高値と最低値を3等分し、高位、中位、低位とした結果、2018年の値はいずれも低位に位置した。 従って本系群の水準は低位と判断した。 動向については、本種の東シナ海および対馬海峡〜日本海南西部海域の資源量指数、大中まきのCPUEおよび長崎県ひき縄のCPUEのいずれの動向も直近5年(2014~2018年)はほぼ横ばいで推移しており、これらの相乗平均から求めた資源量指標値もほぼ横ばいであることから、本系群の資源動向を横ばいと判断した。

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管理方策

現状の資源水準および資源量指標値の変動に合わせた漁獲を行い、さらに我が国周辺で産卵する親魚を適切に管理することを管理方策として2020年のABCを算定した。 本資源に対する漁獲圧の大部分は外国漁船によるものであることから、資源を回復させるためには、関係各国との連携により漁獲圧を下げることが重要である。 さらに、我が国沿岸にも産卵場があることから、我が国EEZにおいて再生産もしくは生活史が完結する資源を独自に保護する方策が現段階では有効である。
管理基準 Target/Limit 2020年ABC
(トン)
漁獲割合
(%)
F値
(現状のF値からの
増減%)
0.7・Cave3-yr・1.13 Target 1,013
Limit 1,266

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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執筆者:青沼佳方・酒井 猛

資源評価は毎年更新されます。