令和2年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

[詳細版へ]
標準和名 カタクチイワシ 魚種写真
学名 Engraulis japonicus
系群名 太平洋系群
担当水研 水産資源研究所

生物学的特性

寿命: 4歳
成熟開始年齢: 1歳(100%)
産卵期・産卵場: ほぼ周年で、産卵盛期は4月~8月、沿岸~沖合の広い海域
食性: 動物プランクトン等
捕食者: 中大型の浮魚類、鯨類

▲このページのTOPへ

漁業の特徴

仔魚期にシラスとして福島県~鹿児島県で船びき網等により春から秋に漁獲される。 未成魚・成魚は、各地の定置網ならびに中・小型まき網で漁獲される。 12月~翌年6月には大中型まき網でも漁獲される。 資源量が多い年には9月~11月に道東から三陸、翌年の1月~5月に熊野灘や日向灘でも多獲される。 黒潮・親潮移行域に分布する沖合域の魚群はほとんど漁獲対象となっていない。

▲このページのTOPへ

漁獲の動向

漁獲量は、1989年まで4.3万トン~9.0万トンで推移していたが、1990年に太平洋北区(青森県~茨城県)で急増し20.0万トンを超え、2003年には過去最高の40.8万トンとなった。 その後は減少し、2019年は4.5万トンであった。 太平洋北区の漁獲量が減少して以降、太平洋中区(千葉県~三重県)が漁獲量の大部分を占めている。 2015年以降は中区の中でも特に東海海域(三重県~神奈川県)の割合が増加傾向にある。

▲このページのTOPへ

資源評価法

1978年~2019年の年齢別漁獲尾数に基づいたコホート解析により資源量を推定した。 資源量指標値として、卵稚仔調査による産卵量、北西太平洋秋季浮魚類資源調査における単位努力量当たり漁獲量(CPUE)、常磐・房総海域の漁獲動向、太平洋北部まき網の資源量指数、千葉県沿岸の大中型・中型2そうまき網船3隻の親魚銘柄CPUEの推移を調べた。 本系群の資源評価では、シラスを含めず資源量推定を行った。

▲このページのTOPへ

資源状態

資源量は2002年をピークとして減少傾向で、2019年は12.0万トンと推定された。 親魚量は2004年以降減少し、2019年は2.7万トンであった。 加入量は2002年以降減少傾向となり、2019年は299億尾と推定された。 再生産成功率は親魚量が低水準になると高くなる傾向があり、2019年は1,122尾/kgであった。 再生産関係から見て良好な加入を期待しにくくなる1988年の親魚量水準(15.5万トン)をBlimitとした。 高位と中位の境界は、過去の親魚量の最高値とBlimitの3等分の上位1/3に相当する100.6万トン、中位と低位の境界はBlimitとした。 2019年の親魚量はBlimitを下回っていることから、資源水準は低位、動向は直近5年間(2015年~2019年)の親魚量の推移から減少と判断した。

▲このページのTOPへ

管理方策

2019年の親魚量はBlimitを下回っていることから、親魚量の早期回復を管理目標とし、5年後(2026年)にBlimitまで回復させるFrec5yrを管理基準として2021年ABCを算出した。 現状の1歳魚の漁獲圧(2017年~2019年の平均、2.46)はF0.1やF30%SPRより高い。 近年、北西太平洋秋季浮魚類資源調査などによる資源量指標値から、沖合域に分布・回遊する資源が減少していることが示されているが、これには気候変動が影響している可能性がある。 一方で局所的に0歳魚が多獲されるなどの影響で若齢魚への漁獲圧が高い。 資源の安定的な回復を図るために若齢魚に対する漁獲圧を引き下げる必要がある。 現状ではシラス漁業が太平洋系群の資源に与える影響は小さいと考えられるが、今後も注視が必要である。
管理基準 Target/Limit 2021年ABC
(千トン)
漁獲割合
(%)
F値
(現状のF値
からの増減%)
Frec5yr Target 13 16 0.60
(-76%)
Limit 15 19 0.75
(-70%)

▲このページのTOPへ

資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

▲このページのTOPへ

執筆者:木下順二・上村泰洋・安田十也

資源評価は毎年更新されます。