令和2年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 カタクチイワシ 魚種写真
学名 Engraulis japonicus
系群名 瀬戸内海系群
担当水研 水産資源研究所

生物学的特性

寿命: 2歳
成熟開始年齢: 5月齢(55%)、6月齢(80%)、7月齢(95%)、8月齢(100%)
産卵期・産卵場: ほぼ周年(主産卵期は5月~10月)、薩南海域~紀伊水道外域、瀬戸内海全域
食性: カイアシ類などの小型甲殻類
捕食者: サワラ、スズキ、サバ類、タチウオなどの魚食性魚類

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漁業の特徴

カエリ(変態)以降の発育段階の個体をカタクチイワシ、それより前の発育段階の個体をシラスと表記する。 シラスから成魚まで漁獲の対象となり、特にシラスを対象とした漁業が発達している。 本資源は中型まき網や船びき網によって漁獲される。 漁場は紀伊水道~伊予灘までの各海域に形成される。 操業期間は外海に近い海域ではほぼ周年、瀬戸内海中央部では春~秋である。 海域によっては加工に不向きな脂イワシの出現や不漁のため、休漁する場合がある。

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漁獲の動向

カタクチイワシとシラスの合計漁獲量は1985年に15.0万トン(カタクチイワシ10.0万トン、シラス5.0万トン)で最大となった後、減少し、1990年代後半は3.8万トン~4.8万トンの間で推移した。 その後、1999年から増加し、それ以降は5.6万トン~7.8万トンの間で推移した。 2019年は6.3万トン(カタクチイワシ3.4万トン、シラス2.9万トン)であった。 1980年代後半からカタクチイワシの漁獲量が減少する一方で、1980年代にシラスの漁獲量は急激に増加した。

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資源評価法

1981年~2019年のカタクチイワシとシラスの月別月齢別漁獲尾数を推定し、コホート解析によって月別月齢別資源尾数を計算した。 1月齢~9月齢の最近月の漁獲係数については過去10年の12月の平均値、9月齢と10月齢魚以上にかかる漁獲係数は同じであると仮定した。 各年の資源量は1月~12月の合計値として表記した。 各年の親魚量(月齢別資源量×月齢別成熟率)は5月~10月の合計値、加入量(1月齢魚の資源尾数)は6月~11月の合計値として表記した。

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資源状態

資源量は1985年に42.4万トンで最大となった後、1997年に10.0万トンまで減少した。 2010年以降は横ばい傾向にあったが、2019年はやや減少し、20.3万トンであった。 親魚量は2010年~2016年は横ばい傾向で推移し、2017年に急増した。 2019年の親魚量は4.9万トンであった。 加入量は2010年まで増加した後、減少傾向にあったが、2019年は増加した。 Blimitは高い再生産成功率があったときに高い加入量が期待できる親魚量3.9万トンとした。 資源水準の高位と中位の境界をBlimitと最大親魚量の中間値(8.1万トン)、中位と低位の境界をBlimitとした。 2019年の親魚量はBlimitを上回り、高位と中位の境界を下回ったことから、資源水準は中位、最近5年間(2015年~2019年)の親魚量の推移から資源動向は減少と判断した。

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管理方策

現状の親魚量水準を維持することを管理目標とし、中長期的にこの水準を維持する漁獲係数Fsusを管理基準として、2021年のABCを算出した。 瀬戸内海の中央に位置する燧灘では、2005年度に資源回復計画の対象魚種に指定され、漁業調整規則等や漁業者間の自主的な取組が行われた。 資源回復計画は2011年度で終了したが、同計画で実施されていた措置は、2012年度以降、新たな枠組みである資源管理指針・計画の下、継続して実施されている。 瀬戸内海では海域によって漁獲対象サイズが異なっており、各海域の実情にあった方策を引き続き推進していくことが重要である。
管理基準 Target/Limit 2021年ABC
(千トン)
漁獲割合
(%)
F値
(現状のF値から
の増減%)
Fsus Target 87 27 0.87
(-21%)
Limit 72 30 1.08
(-1%)

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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執筆者:河野悌昌・高橋正知

資源評価は毎年更新されます。