令和2年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 ブリ 魚種写真
学名 Seriola quinqueradiata
担当水研 水産資源研究所

生物学的特性

寿命: 7歳前後
成熟開始年齢: 2歳(50%)、3歳(100%)
産卵期・産卵場: 太平洋側で1月~5月頃、日本海側で1月~7月頃、東シナ海の陸棚縁辺部を中心として、太平洋側では九州沿岸~伊豆諸島以西、日本海側では九州沿岸~能登半島周辺以西
食性: 稚魚は動物プランクトン、幼魚以降は魚食性
捕食者: 稚魚期の共食いと未成魚期から成魚期でのハクジラ類が確認されている

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漁業の特徴

1950年代は定置網主体で、1960年代から徐々にまき網が増加し、近年はまき網および定置網の両漁法が主体である。 釣・はえ縄および刺網の割合は1980年代になると減少傾向になった。 日本海西区、東シナ海区ではまき網、北海道区、日本海北区、太平洋北区、太平洋南区では定置網が主体で、太平洋中区では定置網の漁獲がまき網よりやや多い。 韓国でも漁獲される。 東シナ海、高知県以西の太平洋を中心に養殖種苗として稚魚(モジャコ)が採捕される。

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漁獲の動向

我が国のブリ類(ヒラマサやカンパチも含まれるが、大部分はブリ)の漁獲量は、1950年代~1970年代中盤は3.8万トン~5.5万トンであった。 1970年代終盤~1980年代にやや減少したが1990年以降は増加傾向であり、2014年に過去最高の12.5万トンとなった。 2019年の漁獲量は10.9万トンであった。 韓国の漁獲量も2008年以降大きく増加しており、2019年の漁獲量は1.6万トンであった。

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資源評価法

資源量は我が国の1994年~2019年の年齢別漁獲尾数に基づくコホート解析から推定した。 朝鮮半島周辺と我が国周辺との間の資源の交流に関して十分な知見が無いため、資源量は我が国の漁獲量に基づき推定した。 コホート解析における自然死亡係数Mは0.3とした。 水準を判断する資源量指標値として、1952年からの長期のデータがあり、漁獲努力量が比較的安定している定置網の漁獲量を使用した。 動向は資源量の推移から判断した。

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資源状態

資源量は、2008年まで11.3万トン~18.2万トンで推移し、以降増加傾向となり2017年に過去最高の31.6万トンとなったが、2018年で27.6万トン、2019年で28.7万トンとなり、2018年以降は減少傾向に転じた。 親魚量は最近5年間(2015年~2019年)では、12.2万トン~15.6万トンの高い水準で推移しており、2019年の親魚量は12.6万トンであった。 2019年の再生産成功率は0.96尾/kgで、長期的には2009年頃まで横ばいであったが、以降は減少傾向で、特に2015年以降は低い年が多く、注意が必要である。 加入尾数は2009年~2014年で1億尾前後の高い水準で、2015年以降はやや少なくなることが多かったが、2019年は1.2億尾と高い値であった。 資源水準は、定置網の漁獲量の最大と最小の間を3等分し、4.3万トンを中高位の、2.6万トンを中低位の境界とした。 2019年の定置網の漁獲量は5.9万トンであり水準は高位、近年5年間(2015年~2019年)の資源量の推移から動向は減少と判断した。

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管理方策

現状よりも漁獲圧を下げて親魚量の維持・増加を図ることを管理目標とし、過去5年間の再生産成功率の中央値のもとで親魚量を維持できるFmedを管理基準値として2021年ABCを算定した。 資源解析を行った1994年以降では1歳魚に対する選択率が高かった年が多く、未成魚(0歳、1歳)への漁獲圧が高まらないよう注意する必要がある。 また、温暖レジームの本種漁獲量増加への寄与が示唆される一方、寒冷レジームがブリ資源の減少を招く懸念もある。 従って、レジームシフトに対応した管理方策を検討しつつ、海域・漁業種類ごとに資源の利用状況を把握した上で、経済的側面も含めて有効活用を図る方向で、管理方策を検討する必要がある。
管理基準 Target/Limit 2021年ABC
(千トン)
漁獲割合
(%)
F値
(現状のF値からの増減%)
Fmed Target 83 31 0.45
(-25%)
Limit 98 37 0.56
(-6%)

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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執筆者:古川誠志郎・亘 真吾・久保田洋・入路光雄・盛田祐加

資源評価は毎年更新されます。