平成27年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 スケトウダラ 魚種写真
学名 Gadus chalcogrammus
系群名 太平洋系群
担当水研 北海道区水産研究所

生物学的特性

寿命: 不明(10歳以上)
成熟開始年齢: 3歳(20%)、4歳(80%)、5歳(90%)、6歳(100%)
産卵期・産卵場: 12~翌年3月、主に噴火湾周辺海域
索餌期・索餌場: 初夏~秋季、主に道東海域や北方四島水域
食性: 主にオキアミ類や橈脚類をはじめとする浮遊性甲殻類、その他に小型魚類、イカ類、底生甲殻類、環形動物など、大型魚による共食いも行われる
捕食者: マダラ、アブラガレイ、オクカジカ、イトヒキダラ、海獣類

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漁業の特徴

本系群は、沖合底びき網漁業(沖底)と刺網や定置網などの沿岸漁業で漁獲されている。1980年代には東北太平洋岸における漁獲量も多かったが、近年の主漁場は北海道の渡島~胆振地方と十勝~根室地方である。主漁期は渡島~胆振地方が10~翌年1月で、十勝~根室地方が9~翌年1月である。なお、千島列島南東海域では、ロシアの大型トロール船が操業を行っている。

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漁獲の動向

漁獲量は1990年代まで概ね20万トン以上で推移していたが、2002年漁期(4~翌年3月)には10.9万トンまで減少した。2005年漁期以降はTAC規制なども働き14万~18万トンの範囲で安定して推移している。2014年漁期の漁獲量は2013年漁期とほぼ同じ15.5万トンであった。

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資源評価法

北海道を根拠地とする沖底の年齢別CPUE(3~7歳)でチューニングしたコホート解析により資源量を推定した。将来予測の再生産成功率には2002~2011年漁期の平均値を用いた。

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資源状態

1981年級群以降では、1981、1991、1994、1995、2005年級群の加入量(0歳魚尾数)が30億尾を超えており、卓越年級群と考えられる。また、1982、1988、1989、2000、2007年級群の加入量も27~29億尾で、卓越年級群に次ぐ豊度の高い年級群である。資源量(0歳以上)は1981年漁期以降安定して推移しており、その中で、卓越年級群を含む豊度の高い年級群が発生した後に増加する傾向にある。2014年漁期の資源量は89.2万トンであった。資源水準と動向の判断には、1990年代以降の漁獲の主体である2歳以上の資源量を用い、100万トン以上を高位、50万トン未満を低位とした。2014年漁期の2歳以上の資源量は75.2万トンで、資源水準は中位、動向は2010~2014年漁期の2歳以上の資源量の推移から減少と判断した。Blimitは豊度の高い年級群の発生が期待できる最低水準の親魚量(1982年級群が発生した15.1万トン)とした。2014年漁期の親魚量は39.7万トンで、Blimitを上回っている。

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管理方策

今後も豊度の高い年級群が発生する親魚量を維持すれば、本資源は持続的に利用可能と考えられる。このため、親魚量をBlimit以上の適切な水準に維持することを管理目標とした。2014年漁期の親魚量はBlimitを上回っていることから、現状の漁獲圧の維持、親魚量の維持を漁獲シナリオとして2016年漁期のABCを算定した。
漁獲シナリオ
(管理基準)
Limit/
Target
F値
(Fcurrentとの
比較)
漁獲割合
(%)
将来漁獲量
(千トン)
確率評価
(%)
2016年
漁期ABC
(千トン)
5年後 5年平均 Blimitを
維持
(5年後)
Blimitを
維持
(10年後)
現状の
漁獲圧の維持
(Fcurrent)
Limit 0.39
(1.00Fcurrent)
12 118

228
140 100 100 119
Target 0.31
(0.80Fcurrent)
10 109

206
122 100 100 98
親魚量の維持
(Fsus)
Limit 0.64
(1.64Fcurrent)
18 125

265
176 92 87 180
Target 0.51
(1.31Fcurrent)
15 124

252
160 99 99 150
定義
  • Limitは、各漁獲シナリオの下で許容される最大レベルのF値(漁獲係数)による漁獲量である。Targetは、資源変動の可能性やデータ誤差に起因する評価の不確実性を考慮し、各漁獲シナリオの下でより安定的な資源の増大または維持が期待されるF値による漁獲量である。Ftarget = α Flimitとし、係数αには標準値0.8を用いた
  • F値はFcurrentの選択率において選択率が1となる年齢(6歳)のF、 Fcurrentは2010~2014年漁期(4月1日~翌年3月31日)のFの平均、漁獲割合は2016年漁期の漁獲量/資源量
  • 将来漁獲量と確率評価は、加入量の不確実性を考慮した10,000回のシミュレーションにより算出した。5年後は2020年漁期、10年後は2025年漁期、5年平均は2016~2020年漁期の平均、5年後の幅は80%区間である
  • 漁獲シナリオにある「親魚量の維持」は中長期的に安定する親魚量での維持を指し、Fsusは2002~2011年漁期の平均の再生産成功率に対応するFである
コメント
  • 本系群のABC算定には、規則1-1)-(1)を用いた
  • 海洋生物資源の保存及び管理に関する基本計画第3に記載されている本系群の中期的管理方針では「太平洋系群については、近年の海洋環境等が資源の増大に好適な状態にあるとは認められない。このため、太平洋系群については、一定の親魚量を確保することにより資源水準の維持を基本として、漁獲動向に注意しつつ、管理を行うものとする」とされており、現状の漁獲圧を維持するシナリオ(Fcurrent)および親魚量を維持するシナリオ(Fsus)では、親魚量を中長期的にBlimit以上に維持できると考えられる

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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期待される管理効果

(1)漁獲シナリオに対応したF値による親魚量及び漁獲量の予測
Fcurrentで漁獲した場合、漁獲量と親魚量はともに2017年漁期以降増加し、親魚量は常にBlimit以上となる。一方、Fsusで漁獲した場合には、漁獲量は2016年漁期以降18万トン付近で横ばいとなり、親魚量も2017年漁期以降24万トン付近で横ばいとなる。
(2)加入量変動の不確実性を考慮した検討
2002~2011年漁期の再生産成功率が重複を許してランダムに発生するという条件の下で、FcurrentとFsusで漁獲した場合の2016年漁期以降の親魚量と漁獲量を10,000回シミュレーションした。2025年漁期の親魚量がBlimitを上回る確率は、Fcurrentで100%、Fsusで87%と、ともに高い値である。

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資源変動と海洋環境との関係

本系群の豊度の高い年級群が発生するためには、冬季の高水温が重要であることが指摘されている。例えば、卓越年級群である1991、1995年級群や、豊度の高い2000年級群が産み出された冬季の噴火湾周辺海域は、例年よりも高水温下にあった。また、親潮の勢力が強かった1980年代には、東北海域が本系群の生育場として機能することによって、加入量が比較的安定していたと考えられている。

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執筆者:船本鉄一郎・山下夕帆・千村昌之・田中寛繁

資源評価は毎年更新されます。