平成２９年度資源評価報告書（ダイジェスト版）
| 標準和名 | ソウハチ |  |
| 学名 | Hippoglossoides pinetorum | |
| 系群名 | 日本海系群 | |
| 担当水研 | 日本海区水産研究所 |
生物学的特性
| 寿命： | 7歳以上 |
| 成熟開始年齢： | 雄2歳（50％）、3歳（100％）、雌3歳（100％） |
| 産卵期・産卵場： | 1～3月、対馬周辺海域、島根県浜田沖 |
| 食性： | エビジャコ類、アミ・オキアミ類、全長15cm以上ではキュウリエソなどの魚類、20cm以上ではホタルイカ等のイカ類 |
| 捕食者： | 不明 |
漁業の特徴
本系群は日本海西部海域において1そうびき（1そう）および2そうびき（2そう）沖合底びき網（沖底）と小型底びき網（小底）によって漁獲される。総漁獲量に対して、1990年代前半までは沖底の漁獲量が80～90％を占めていたが、1998年以降、小底の割合が30％前後まで増加した。
漁獲の動向
漁獲量は1999年に5,000トンを超えたが、その後急減して2004年に1,500トン未満まで減少した。2009～2015年の漁獲量は2,200～3,500トンの範囲で推移し、2016年は2,000トンであった。資源密度指数は1そう、2そう沖底ともに1970年代に最高値となった後は、2004年まで減少傾向となった。その後、2007～2008年にかけて一旦増加したが、以後、増減を繰り返している。
資源評価法
漁獲量の大半を占める1そう、2そう沖底の1997～2016年の年齢別漁獲尾数を基に、1そう、2そう沖底の資源密度指数でチューニングしたコホート解析により資源量（1歳以上）を推定した。また、資源水準の判断基準として、漁獲量の比率から2そう沖底に対して1そう沖底に3倍の重みを持たせた資源密度指数の加重平均（1970～2016年）（加重平均資源密度指数）を用いた。
資源状態
資源量は1999年の1.38万トンから2004年には5,800トンまで減少した後、2007年は1.15万トンまで増加した。その後漸減し、2016年は9,000トンとなった。親魚量は1999～2000年の5,200トンから2004年に2,400トンまで減少し、2008年には5,000トンにまで回復、その後再び減少に転じた。過去最低の親魚量から資源が回復した2004年の親魚量2,400トンをBlimitとした。2016年の親魚量は3,800トンであり、Blimitを上回っている。加重平均資源密度指数の最高値と0を三等分して、高位、中位、低位とし、2016年の資源水準は中位と判断した。動向は直近5年間（2012～2016年）の資源量の推移から横ばいと判断した。
管理方策
2016年の親魚量はBlimitを上回っていることから、親魚量を維持することを管理目標とし、管理基準値としてFmedにより2018年ABCを算出した。再生産成功率は資源計算を行った18年間（1997～2014年）の中央値(RPSmed：11.8尾/kg)で一定と仮定した。2016年の漁獲係数(Fcurrent：0.31)はFmed(0.48)よりも低いため、現状の漁獲を続けた場合でも、資源量・親魚量ともに増加することが予想された。
| 管理基準 | Target/Limit | 2018年ABC （百トン） |
漁獲割合 (％) |
F値 (現状のF値からの増減％） |
| Fmed | Target | 31 | 26 | 0.39 （＋26％） |
| Limit | 37 | 31 | 0.48 （＋57％） |
- 本系群のABC算定には規則1-1)-(1)を用いた
- Limitは、管理基準の下で許容される最大レベルのF値（漁獲計数）による漁獲量、Targetは、資源変動の可能性や誤差に起因する評価の不確実性を考慮し、管理基準の下でより安定的な資源の維持が期待されるF値による漁獲量
- Ftarget=Flimit×αとし、係数αには標準値0.8を用いた
- 現状のF値（Fcurrent）は2016年のF値であり、0.31である
- 2017年以降の加入量は1997～2014年における再生産成功率の中央値を使用して予測した
- 漁獲割合は2018年の漁獲量／資源量
- F値は各年齢の平均値
資源評価のまとめ
- 資源水準は中位、動向は横ばい
- 2016年の資源量は9,000トン、親魚量は3,800トン
- Blimitは過去最低の親魚量から資源が回復した2004年の親魚量2,400トン、2016年の親魚量はBlimitを上回っている
管理方策のまとめ
- 2016年の親魚量はBlimitを上回ることから、親魚量を維持することを管理目標として2018年ABCを算定した
執筆者：飯田真也・藤原邦浩・八木佑太・後藤常夫
資源評価は毎年更新されます。