平成29年度資源評価報告書(ダイジェスト版)
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東シナ海底魚類 |
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エソ類
| ワニエソ
| Saurida wanieso
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トカゲエソ
| Saurida elongata
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マエソ
| Saurida macrolepis
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クロエソ
| Saurida umeyoshii
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ハモ
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| Muraenesox cinereus
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マナガツオ類
| マナガツオ
| Pampus punctatissimus
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コウライマナガツオ
| Pampus echinogaster
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カレイ類
| ムシガレイ
| Eopsetta grigorjewi
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メイタガレイ
| Pleuronichthys cornutus
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ナガレメイタガレイ
| Pleuronichthys japonicus
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系群名 |
東シナ海 |
担当水研 |
西海区水産研究所 |
漁業の特徴
主に以西底びき網漁業(以西)によって漁獲される。以西のかつての漁場は東シナ海・黄海の大陸棚上の広域に及んでいたが、現在では主に我が国EEZ内の九州西方海域に縮小した。対象種も大きく変化し、現在ではキダイ、マダイ、イカ類等が大きな割合を占め、ハモ、マナガツオ類の占める割合は小さくなっている。我が国の他、中国・韓国も漁獲している。
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漁獲の動向
以西による漁獲量は、1960年代には30万トン以上であったが、1970年前半にはおよそ20万トンとなった。その後も漸減し、2016年は3,600トン、このうち、本資源の漁獲量はエソ類が189トン、ハモが1トン未満、マナガツオ類が1トン、カレイ類が31トンであった。本資源を最も漁獲している中国の漁獲量は1990年代に増加し、2011~2015年はハモが36万~39万トン、マナガツオ類が32万~36万トンであった。韓国は2016年ではマナガツオ類4,800トン、カレイ類はおよそ1.2万トンであり、 我が国と比べて大量に漁獲している。
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資源評価法
資源水準は以西の漁獲統計(主に2そうびき)を解析し、資源の変動傾向を検討した。資源動向は東シナ海陸棚縁辺部において行った着底トロール調査から得た現存量推定値(1998~2017年)と、以西における単位努力量当たりの漁獲量(CPUE)のうち、2012~2016年の値の相乗平均を資源量指標値として用い判断した。
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管理方策
本資源は、産卵場を含む主分布域が我が国EEZ外に存在する。我が国の漁獲努力が著しく減少している一方、中国と韓国による漁獲は日本よりはるかに多く、本資源に与える影響は極めて大きい。東シナ海における有効な資源管理のためには、関係各国の協力体制の構築が必要である。近年の以西の操業海域においては、実際の分布量に見合った漁獲を継続することを管理目標とするのが妥当である。
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資源評価のまとめ
- 資源水準は、1990年までに漁獲量、CPUE共に大きく減少していること、および近隣国の漁獲の動向から、すべての魚種について低位と判断した
- 資源動向は、主漁場(九州西方EEZ海域)の指標値から、全ての種を減少傾向と判断した
- すべての資源が低位水準であり、かつ動向は減少傾向にあることから、資源状態は良くないと判断される
管理方策のまとめ
- 近年の以西の操業海域においては、実際の分布量に見合った漁獲を継続することを管理目標とするのが妥当である
- 中国・韓国による対象資源の漁獲は我が国よりはるかに多く、有効な資源管理のためには関係各国の協力体制が不可欠である
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執筆者:青沼佳方・酒井 猛・川内陽平