令和2年度資源評価報告書（ダイジェスト版）
| 標準和名 | マダラ |  |
| 学名 | Gadus macrocephalus | |
| 海域名 | 北海道日本海 | |
| 担当水研 | 水産資源研究所 |
生物学的特性
| 寿命： | 10歳以上 |
| 成熟開始年齢： | 不明（50％成熟体長は雄が50cm、雌が53cm） |
| 産卵期・産卵場： | 12月～翌年3月下旬、分布域全体に散在 |
| 食性： | 漂泳生活をしている幼稚魚期は主にカイアシ類、底生生活に入ってからは主に魚類、甲殻類、頭足類、貝類 |
| 捕食者： | 海獣類 |
漁業の特徴
沖合底びき網漁業（沖底）と、刺網、はえ縄、底建網などの沿岸漁業によって漁獲される。
ほぼ周年漁獲されるが、冬季～春季に漁獲量が多い。
沖底の大部分は100トン以上のかけまわし船である。
漁獲量全体に占める沖底漁獲量の割合は、1992年漁期（4月～翌年3月）以降減少して2005年漁期～2016年漁期は2割～3割であったが、2017年漁期以降はおよそ4割である。
漁獲の動向
漁獲量は1992年漁期の1.22万トンをピークにその後減少した。
2011、2012年漁期に増加したが、その後減少して2014年漁期には過去最低の2,513トンまで落ち込んだ。
2015年漁期以降再び増加に転じ、2019年漁期は1985年以降で最大の1.35万トンに達した。
100トン以上の沖底かけまわし船のマダラの有漁網数で漁獲努力量の推移をみると、2015年漁期以降は4,200網～5,600網であった。
2019年漁期は4,600網であった。
なお、沿岸漁業の漁獲努力量に関する情報は得られていない。
資源評価法
100トン以上の沖底かけまわし船によるマダラの有漁操業の１網当たり漁獲量（CPUE）（以下、沖底CPUE）に基づいて資源状態を判断した。
資源状態
沖底CPUEは、2014年漁期に84kg／網まで低下した後は上昇に転じ、2017年漁期には484kg／網、2018年漁期には811kg／網、2019年漁期は1,262kg／網となり1985年漁期以降の最高値を更新した。
資源水準は、過去35年間（1985年漁期～2019年漁期）の沖底CPUEの平均値を50として各年のCPUEを指標値（資源水準値）化し、65以上を高位、35以上65未満を中位、35未満を低位とした。
2019年漁期の資源水準値は305であり、資源水準は高位と判断した。
資源動向は、直近5年間（2015年漁期～2019年漁期）の沖底CPUEの推移に基づいて増加と判断した。
管理方策
漁獲量と資源量指標値が使用できることから、資源量指標値の水準および変動傾向に合わせた漁獲を行うことを管理方策とし、2021年漁期ABCを算定した。
| 管理基準 | Target／Limit | 2021年漁期 ABC （百トン） |
漁獲割合 （％） |
F値 （現状のF値から の増減％） |
| 1.0・Cave3-yr・1.46 | Target | 118 | － | － |
| Limit | 147 | － | － |
- Limitは、管理基準の下で許容される最大レベルの漁獲量、Targetは、資源変動の可能性やデータ誤差に起因する評価の不確実性を考慮し、管理基準の下でより安定的な資源の維持が期待される漁獲量
- Target＝αLimitとし、係数αには標準値0.8を用いた
- ABClimitは、ABC算定規則2-1)により、ABClimit＝δ1・Ct・γ1で算定した
- δ1には1.0（高位水準における標準値）を用いた
- γ1はγ1＝1＋k(b/I)で計算し、kは係数（標準値の1.0）、沖底CPUEを資源量指標値として、直近3年間（2017年漁期～2019年漁期）の動向から、資源量指標値の傾きb(389.3)と平均値I(852)を定めた
- CtにはCave3-yr（2017年漁期～2019年漁期の平均漁獲量）を用いた
- 2021年漁期は2021年4月～2022年3月
資源評価のまとめ
- 資源水準は高位、動向は増加
- 沖底CPUEに基づいて資源状態を判断した
管理方策のまとめ
- 資源量指標値の水準および変動傾向に合わせた漁獲を行うことを管理方策とした
執筆者：境 磨・千村昌之・石野光弘・濱津友紀
資源評価は毎年更新されます。