平成30年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 スケトウダラ 魚種写真
学名 Gadus chalcogrammus
系群名 オホーツク海南部
担当水研 北海道区水産研究所

生物学的特性

寿命: 不明(10歳以上)
成熟開始年齢: 4歳(50%以上)
産卵期・産卵場: 3~5月、北見大和堆~宗谷地方沿岸及びテルペニア(多来加)湾周辺と推定されているが、1990年代以降、北見大和堆周辺では明確な産卵群は確認されておらず詳細は不明
食性: オキアミ類、カイアシ類、クラゲノミ類、ヨコエビ類をはじめとする小型甲殻類、イカ類、魚類など。本海域では魚類の割合が高い
捕食者: 不明

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漁業の特徴

本資源は、北海道オホーツク海沿岸~サハリン東岸に分布している群の一部である。 漁獲の大半は沖合底びき網(沖底)であり、沿岸漁業の割合は3%未満である。 漁期は流氷の接岸期を除く周年であり、スケトウダラを含む底魚類の保護のため、1998年より2~3月に1ヶ月半にわたり沖底の休漁を実施している。 1990年漁期以降では4~7月の漁獲が多い。 沖底では1986年漁期まではオッタートロール(オッター)による漁獲が多かったが、それ以降はかけまわしが主体である。 沖底の許可隻数は減船により2016年末以降14隻となっている。

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漁獲の動向

漁期年(4~翌年3月)の漁獲量は、1980年代前半までは概ね15万トン前後で推移したが、ソ連(ロシア)水域の漁獲規制強化等で1986年漁期に大きく減少し、1990~2005年漁期は増減を繰り返しながら3万トン以下で推移した。 2006年漁期から増加傾向を示したが、2012年漁期以降は緩やかに減少しており、2017年漁期は1.5万トンであった。 漁獲努力量は2000年漁期以降はオッターは概ね2,000~3,000網前後で推移しており、かけまわしは概ね10,000網前後で推移している。

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資源評価法

資源水準はオッターによる有漁操業の漁区別単位努力量当たり漁獲量(CPUE)の総計(オッタートロール資源量指標値)を、動向は近年漁獲の主体であるかけまわしのスケトウダラ狙い操業CPUEを用いて判断した。 このほか、オホーツク海底魚資源調査結果(4~5月・オホーツク海日本水域の水深100~300mにて実施)、およびロシア水域(東サハリン)におけるTAC設定値も参考とした。

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資源状態

本資源の産卵場があると推測されているロシア水域内での再生産や加入、漁獲状況に関する情報は少ない。 そのため、既存の情報からは資源量の算定が困難であり、定量的な評価を行うことができない。 水準はオッタートロール資源量指標値の過去の推移から高位と中位の境界値を350、中位と低位の境界値を60と設定し、2017年漁期が23であることから低位、動向はかけまわしのスケトウダラ狙い操業CPUEの過去5年間(2013~2017年漁期)の推移から減少と判断した。 水準が中位から低位に変わったのは、指標値が中位と低位の境界付近にあるため、わずかな来遊の違いによるものと考えられる。 なお、調査船調査による現存量(重量)は2013年から2017年にかけて横ばい傾向だったが、2018年に増加した。 ロシア水域のTACは2006~2014年に増加したのち2018年も高い水準である。

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管理方策

現在は日本水域内において産卵場が確認されておらず、他の海域で発生し、成長のため一時的に来遊した群が本資源の主体となっていると考えられる。 日本水域外の情報が乏しく、来遊状況も海洋環境などにより変動していると考えられ、資源量の推定は困難である。 また、我が国のみの資源管理の効果は限定的と想定され、その効果の判定も困難である。 よって、ABCの算定は行わず、参考値としての算定漁獲量を提示する。 算定漁獲量は、資源の状態に合わせた漁獲を管理方策とし、1.0・Cave3-yr・0.94として算出した。 資源の状況に合わせた漁獲を継続することによる、過度の漁獲圧をかけない管理が妥当である。
 
漁獲シナリオ
(管理基準)
Target
/Limit
2019年漁期
算定漁獲量
(千トン)
漁獲割合
(%)
F値
(現状の
F値からの
増減%)
2024年漁期の
親魚量
(千トン)
(80%区間)
確率評価(%)
2024年漁期に
2017年漁期
親魚量を
維持
2024年に
Blimitを
維持
資源の状態に
合わせた漁獲
(1.0・Cave3-yr・0.94)
Target 18.0
Limit 22.5
定義
  • Limitは、漁獲シナリオの下で許容される最大レベルの漁獲量、Targetは、資源変動の可能性やデータ誤差に起因する評価の不確実性を考慮し、漁獲シナリオの下でより安定的な資源の維持が期待される漁獲量
  • 算定漁獲量はLimit=δ1・Ct・γ1、Target=Limit・αで計算し、係数αには標準値0.8を用いた
  • Ctは2015~2017年漁期の平均漁獲量(Cave3-yr)とした
  • δ1は資源水準で決まる係数であるが、本資源の主体は来遊群であり現状では主産卵場も日本水域にはないことから資源水準によらず1.0とした
  • γ1(0.94)はγ1=1+k(b/I)で計算した。kは標準値の1.0、b(-0.21)とI(3.46)はかけまわしCPUEの傾きと平均値(直近3年間(2015~2017年漁期))である
  • 2019年漁期は2019年4月~2020年3月
コメント
  • 本資源の算定漁獲量の計算には、規則2-1)を用いた
  • 本資源については既存の情報からは資源量の算定が困難なことから、F値(漁獲係数)、漁獲割合、将来漁獲量の算定など定量的な評価は行っていない
  • 海洋生物資源の保存及び管理に関する基本計画第3に記載されている本資源の中期的管理方針では「ロシア連邦の水域と我が国の水域に跨って分布し、同国漁船によっても採捕が行われていて我が国のみの管理では限界があることから、同国との協調した管理に向けて取り組みつつ、当面は資源を減少させないようにすることを基本に、我が国水域への来遊量の年変動にも配慮しながら、管理を行うものとする。」とされている
  • 管理効果の判定が困難なため算定漁獲量は参考値である
  • 本資源は加入起源や系群構造など生態的に不明な点が多い。主産卵場もロシア水域にあり、日本水域ではほとんど再生産を行っていないと推測される
  • 本資源は成長の一時期に本海域を利用していると推測され、日本水域に限定したABC算定は困難であるが、過度の漁獲圧をかけないことが望ましい

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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執筆者:石野光弘・境 磨・千村昌之・山下夕帆・山下紀生

資源評価は毎年更新されます。