平成30年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 カタクチイワシ 魚種写真
学名 Engraulis japonicus
系群名 対馬暖流系群
担当水研 西海区水産研究所

生物学的特性

寿命: 2歳
成熟開始年齢: 1歳(100%)
産卵期・産卵場: 冬季を除く周年(能登半島以西)、夏季を中心とした温暖期(能登半島以北)
食性: カイアシ類を中心とした動植物プランクトン
捕食者: 魚食性魚類の他、クジラやイルカなどの海産ほ乳類や海鳥類など

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漁業の特徴

成魚は日本海北区(石川県~新潟県)では主に定置網によって、日本海西区(福井県~山口県)では主に大中型まき網・中型まき網・定置網などによって、東シナ海区(福岡県~鹿児島県)では主に中型まき網によって漁獲される。 仔魚は主に熊本県や鹿児島県の沿岸域においてシラス漁業によって漁獲される。 韓国と中国が自国の沿岸域で漁獲しているカタクチイワシについては対馬暖流系群とはみなさず、本資源評価では考慮していない。

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漁獲の動向

成魚の漁獲量は1997年を除き1996~2000年には10万トンを超えていたが、2004年には6.1万トンまで減少した。 2005~2008年に一旦増加したが、2009~2012年には減少した。 2013年以後は横ばいで推移し、2017年には5.0万トンとなった。 海区別では、2000年から東シナ海区の漁獲が他の2海区を上回るようになった。 シラス漁獲量は1999~2000年に1.1万トンを超えた後急減した。 2005年前後にも再び1万トン近い漁獲があったが2014年までに4,100トンまで減少した。 その後は横ばいとなり、2017年には4,600トンとなった。 2017年における、成魚とシラスの合計漁獲量は5.5万トンであった。

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資源評価法

シラスを含めた年別年齢別漁獲尾数に基づくコホート解析により、1977~2017年の資源量を推定した。 卵稚仔調査、浮魚類魚群量調査および新規加入量調査(ニューストンネット)の結果は、資源動向を判断するための参考値として
使用した。

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資源状態

資源量は1998年には30.6万トンであったが、2001年には13.0万トンまで急減し、2002~2007年に増加した後、2013年まで減少傾向にあった。 2017年の資源量は10.4万トンであった。 親魚量と加入量も資源量と概ね同様の変動傾向を示し、2017年の親魚量は5.7万トン、加入量は640億尾であった。 再生産成功率は変動が大きく、親魚量とは負の相関関係にある。 Blimitは、再生産成功率と加入尾数の各々上位10%に相当する2直線の交点に近い2005年の親魚量9.1万トンとした。 資源水準は、親魚量の最高値から最低値の範囲の上位1/3(15.5万トン)以上を高位、Blimit未満を低位とし、両者の中間を中位とした。 2017年の親魚量はBlimitを下回っており、資源水準を低位と判断した。 動向は、過去5年(2013~2017年)の資源量と親魚量の推移から横ばいと判断した。

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管理方策

2017年の親魚量がBlimitを下回っていることから、親魚量を5年後にBlimitまで回復させることを管理目標とし、2019年ABC(含シラス漁獲量)を算出した。 5年後に親魚量がBlimitに回復する漁獲係数(Frec5yr)を管理基準とした。 2019~2023年の再生産成功率は2007~2016年の中央値と仮定した。 加入量は親魚量と正の相関関係にあることから、資源の安定的利用には、親魚量の確保が有効と考えられる。 加入量は、全体として対馬暖流域の冬季表層水温と正相関することが経験的に明らかとなっている。 このため、水温が平年よりも低い年には0歳魚を獲り控えるなど、低加入への対策が必要と考えられる。
管理基準 Target/Limit 2019年ABC
(千トン)
漁獲割合
(%)
F値
(現状のF値からの
増減%)
Frec5yr Target 35 46 1.6
(-42%)
Limit 37 50 2.0
(-27%)

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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執筆者:林 晃・安田十也・黒田啓行・高橋素光

資源評価は毎年更新されます。