平成30年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 ヤリイカ 魚種写真
学名 Heterololigo bleekeri
系群名 太平洋系群
担当水研 東北区水産研究所

生物学的特性

寿命: 1年
成熟開始年齢: 約1歳
産卵期・産卵場: 1~6月、九州~東北の沿岸各地
食性: 外套背長50mmまでは主にカイアシ類、60~150mmではカイアシ類、オキアミ類、アミ類、170mm前後からは魚類
捕食者: 海産哺乳類、大型魚類等

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漁業の特徴

北部海域(岩手県南部から房総)では主に沖合底びき網漁業(沖底)のトロール、定置網、小型底びき網漁業(小底)で漁獲される。 中部海域(静岡県以西の本州、主に愛知県)では沖底のかけ廻しと小底、南部海域(四国・九州)では沖底の2そうびきで主に漁獲され、北部と中部・南部では漁業形態が異なる。 なお、福島県では東日本大震災(震災)後の操業自粛によって、常磐海域の沖底のトロールの漁獲努力量の減少が著しい。 南部では2007年以降、沖底の2そうびきの漁獲努力量が低い水準で推移している。

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漁獲の動向

ヤリイカ太平洋系群の1978年以降の漁獲量は、年変動が大きいものの、947トン(2005年)~5,279トン(1979年)の範囲にある。 2017年は3,323トンであった。 海域によって変動傾向が異なっており、北部では2012年に急増し、2012~2014年は3,000トンを超え、2017年も2,712トンと高い値であったのに対し、中部・南部では1991年に562トンに大きく減少した後、500トン前後の低い値で推移している(2017年は444トン)。 中部・南部の漁獲量が減少した要因として、ヤリイカの分布域が水温上昇とともに北偏化したことが指摘されている。

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資源評価法

ヤリイカ太平洋系群では、北部と中・南部における漁業の状況と資源の変動傾向が大きく異なることから、海域別に評価・ABC算定を行い、合算値を系群全体のABCとして算定した。 資源水準の判断には漁獲量を用いた。 ただし、福島県では操業自粛によって、常磐海域の漁獲努力量の減少が著しいため、北部の水準の判断には沖底トロールの常磐海域を除いた漁獲量で判断した。 資源動向の判断には近年5年の沖底の単位努力量当たり漁獲量(CPUE)の推移を用いた。

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資源状態

1978年以降の海域別(北部と南部)の漁獲量の最大値と0を3等分して高位・中位・低位に区分した。 北部の2017年の漁獲量(沖底トロールの常磐海域を除く)は2,712トンであり、高位(漁獲量が2,609トン以上)と判断された。 一方、中部・南部の2017年の漁獲量(444トン)は低位(843トン未満)と判断された。 全体としての資源水準は、現在の漁獲の中心である北部海域を優先し、高位と判断した。 資源動向は、直近5年(2013~2017年)における北部の沖底のトロールのCPUEと南部の2そうびきのCPUEの推移から横ばいと判断した。 なお、北部、南部とも横ばいであったことから、系群全体の動向も横ばいと判断した。 2017年は北部の漁獲量が増加したことにより、水準が中位から高位に変更となった。

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管理方策

本系群では、資源水準が高位、動向が横ばいであったことから、資源水準に合わせた漁獲を管理目標とし、海域別に2019年のABCを算定し、合計して太平洋系群全体のABCとした。 単年性のいか類では、毎年の加入量が環境要因によって大きく変化し、予測も困難である。 そのため、努力量規制による管理が効果的である。 また、本系群では海洋環境(水温)による資源の応答が海域(北部と中部・南部)で異なっていることから、海域毎に資源管理を実施することも重要である。
管理基準 Target/Limit 2019年ABC
(百トン)
漁獲割合
(%)
F値
(現状のF値からの増減%)
1.0・北部Cave3-yr・1.13
0.7・中部・南部Cave3-yr・1.20
Target 24
Limit 31

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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執筆者:木所英昭・冨樫博幸・成松庸二・時岡 駿

資源評価は毎年更新されます。