平成25年度資源評価票(ダイジェスト版)

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標準和名 ゴマサバ 魚種写真
学名 Scomber australasicus
系群名 太平洋系群
担当水研 中央水産研究所

生物学的特性

寿命: 6歳程度
成熟開始年齢: 2歳
産卵期・産卵場: 冬~春季(12~6月)、伊豆諸島周辺以西の黒潮周辺域
索餌期・索餌場: 夏~秋季、常磐~房総半島以西沿岸、一部は三陸~道東沖まで回遊
食性: 稚魚期には浮遊性甲殻類、イワシ類のシラスなど、幼魚期以降は浮遊性甲殻類、小型魚類、イカ類など
捕食者: 幼魚期まではカツオなどの大型魚類等

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漁業の特徴

まき網漁業(太平洋北・中・南区)、火光利用さば漁業(たもすくい・棒受網漁業、中区)、定置網漁業(北・中・南区)、釣り漁業(おもに南区)によって周年漁獲される。漁場は陸棚上から陸棚縁辺、および島しょ周辺や瀬など。漁獲物は、まき網漁業と火光利用さば漁業ではおもに若齢魚、南区の釣り漁業では高齢魚の割合が高く、定置網漁業では時期や海域によって組成が大きく異なる。漁業種別漁獲量はまき網漁業が最も多い。

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漁獲の動向

1982年漁期(7月~翌6月)以降の年間漁獲量は、1995年漁期に10万トンを超えてから高い水準にあり、2006年漁期に19.3万トンと過去最高となった。2012年漁期は13.5万トンと引き続き高い水準にあるが北区のまき網における努力量低下などにより前年を下回った。1981年以前については、ゴマサバとしての資料が整備されていないが、おもに南区で漁獲され、漁獲量は近年の水準を大きく下回っていた。

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資源評価法

1995~2011年級群について、7月~翌6月の漁期を年単位とする年齢別漁獲尾数を使ったコホート解析により資源量を推定した。最近年の漁獲係数は、6つの資源量指標値(調査船調査による4指数、漁業情報による2指数)を加入尾数に適合させるチューニングを行って推定した。自然死亡係数は0.4とした。最近年の2012年級群の資源量は2つの資源量指標値による回帰式で推定した。

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資源状態

資源量は、1995~2011年はおおむね安定した加入の継続と1996、2004年の高い加入量によって30万トン前後から60万以上に達する高い水準にある。2012年は77.9万トンであった。親魚量はBlimitを大きく上回って推移しており、2012年は32.6万トンであった。

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管理方策

1995~2012年の加入量は8億尾前後で比較的安定し、3度卓越年級群の発生がみられ、資源量は中~高位水準で推移したことから、この期間の最低親魚量の1996年水準(3.8万トン)をBlimitとした。現状の漁獲圧(Fcurrent)で将来的に親魚量は高い水準で推移すると見込まれ、資源の持続的な利用が可能な状態にある。漁獲圧を現状より低減しても(F30%SPR)親魚量の増加に比例した加入量の増加は見込めず、資源量の大幅な増加は図られない。現状より過大でない程度で漁獲圧を高めた場合(F20%SPR)には、Blimitを十分上回る水準での親魚量の維持と漁獲量の増加が見込まれる。
漁獲シナリオ
(管理基準)
F値
(Fcurrentとの
比較)
漁獲割合 将来漁獲量 評価 2014年
漁期ABC
5年後 5年平均 現在の親魚
量を維持
(5年後)
Blimit
を維持
(5年後)
親魚量を
高水準で維持
(F30%SPR)
0.48
(0.96Fcurrent)
25% 131千トン

265千トン
201千トン 25% 100% 236千トン
現状の
漁獲圧の維持
(Fcurrent)
0.50
(1.00Fcurrent)
26% 133千トン

272千トン
205千トン 23% 100% 243千トン
親魚量をBlimit
以上で維持・
漁獲量の増加
(F20%SPR)
0.74
(1.49Fcurrent)
35% 141千トン

311千トン
243千トン 10% 100% 326千トン
コメント
  • 現状の漁獲圧は当該資源を持続的に利用可能な水準である
  • 現在の親魚量(2012年)は高い水準にあり、将来的に親魚量がこれを下回っても資源水準の維持は可能
  • 本系群のABC算定には規則1-1)-(1)を用いた
  • 中期的管理方針では、「資源を中位水準以上に維持することを基本方向として、管理を行う」とされている
  • Fcurrentは近年5年(2008~2012年漁期)のFの平均、F値は全年齢の単純平均
  • 将来漁獲量の幅は80%区間
  • 漁獲割合は2014年漁期の漁獲量/資源量
  • 現在の親魚量を維持する確率は、2019年漁期当初に2012年親魚量以上である確率
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    資源評価のまとめ

    管理方策のまとめ

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    期待される管理効果

    (1)漁獲シナリオに対応したF値による資源量(親魚量)及び漁獲量の予測
    加入量をSSB-RPS回帰式と推定親魚量によって仮定して予測した。F30%SPR、Fcurrentでは資源量、親魚量は高い水準で維持されるが増加は見込めない。F20%SPRでは資源量、親魚量は高い水準で維持され漁獲量は増加する。
    (2)加入量変動の不確実性を考慮した検討
    SSB-RPS回帰式と、観測値の回帰式からの残差のリサンプリングによって加入量を与える1,000回の試行で検討した。2019年の親魚量がBlimitを上回る確率は、F30%SPR、Fcurrent、F20%SPRでは100%であった。

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    資源変動と海洋環境との関係

    産卵場周辺である日向灘南部沿岸定線における2月の表面水温(宮崎県水産試験場データ)とRPS観測値のSSB-RPS回帰式からの残差との間に負の相関があり、水温が低いときにRPSが高くなる傾向がみられた。日向灘の水温は黒潮流路の変動の影響を強く受けることから、黒潮の変動に関係する再生産環境条件の変化を指標していることが窺われる。

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    執筆者:川端 淳・渡邊千夏子・梨田一也・本田 聡・岡村 寛・市野川桃子

    資源評価は毎年更新されます。