平成25年度資源評価票(ダイジェスト版)

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標準和名 キチジ 魚種写真
学名 Sebastolobus macrochir
系群名 道東・道南
担当水研 北海道区水産研究所

生物学的特性

寿命: 不明
成熟開始年齢: 3歳
産卵期・産卵場: 春季(3~5月)、産卵場は恵山海丘、襟裳岬沖、釧路沖、落石沖の山状の地形の周辺(水深400~850m)
索餌期・索餌場: 北海道太平洋側沖合の一帯に分布し、主な分布水深は300~900m
食性: クモヒトデ類、ヨコエビ類、オキアミ類、エビ・カニ類、多毛類、魚類など
捕食者: マダラ、アブラガレイ、共食い

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漁業の特徴

沖合底びき網漁業(沖底)の他、えびこぎ網(旧エビ桁網)や刺し網などの沿岸漁業により周年漁獲されている。近年の漁獲量は、沖底よりも沿岸漁業の方が多い。また、道南よりも道東で漁獲量が多い。

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漁獲の動向

道東と道南における沖底と沿岸漁業の漁獲量は、長期的には減少傾向にある。1985年まで1,000トンを超えていた漁獲量は、1997年に500トンを割り込み、1999年以降は200~300トンにまで減少した。2012年の漁獲量は335トン(暫定値)であった。

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資源評価法

当業船のキチジに対する漁獲努力量の把握が困難なことから、漁業データとして、漁獲量の経年変化と漁獲物の体長組成を評価に用いた。また、漁船漁獲物から採集した標本と銘柄別水揚げ記録を用いて、漁獲物の体長組成を推定した。さらに、1999年以降は底魚を対象とした北海道太平洋沖合域のトロール調査によりキチジの分布密度を推定しており、これを近年の資源量の指標値として利用した。

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資源状態

1985年まで1,000トンを超えていた漁獲量は、1999年以降200~300トンにまで減少した。各海域の漁業種類別の漁獲データがそろう1986年以降の過去27年間(1986~2012年)の漁獲量から、現在の資源水準は低位(最高値~0を3等分して判断)と判断した。また、道東海域における分布密度は、1999年以降全体として増加傾向を示した。全体の分布密度も、2001年から増加傾向にあった。分布密度は2001~2004年には、道東海域よりも道南海域の方が多かったが、2005~2010年には両海域で同程度となった。2009年以降5年間の道東海域における分布密度の変化から、資源動向は増加傾向と判断した。

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管理方策

資源回復のためには、漁獲圧を下げる必要がある。平成25年度ABC算定のための基本規則2-1)に従いABCを算定する。資源動向は増加傾向だが、現在の資源が極めて低い水準であることに変わりはない。未成魚が成熟するまで獲り残し、親魚を増加させることが、資源状態の改善に有効に働くと期待される。
  2014年漁獲量 管理基準 F値 漁獲割合
ABClimit 202トン 0.6・Cave4-yr・1.28
ABCtarget 162トン 0.8・0.6・Cave4-yr・1.28
  • 年は暦年(1~12月)
  • 平成24年度にABC算定規則が改正され、ABCはABClimit=δ1・Ct・γ1、ABCtarget=ABClimit・αで計算し た
  • γ1は、γ1=1+k(b/I)で計算をし、kは係数(標準値の1.0)、bとIは資源量指標値の傾きと平均値(直近5年間)である
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    資源評価のまとめ

  • 現在の資源状態は極めて低い水準にある
  • 近年、資源動向は増加である
  • 豊度の高い年級群が確認できる
  • 管理方策のまとめ

  • 漁獲努力量の削減が必要
  • 未成魚が成熟するまで獲り残し、親魚を増加させることが、資源状態の改善に有効に働くと期待される
  • キチジの餌生物が生息可能な海底環境の保全・復元を図ることが、資源回復にとって不可欠
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    執筆者:濱津友紀

    資源評価は毎年更新されます。