平成27年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 マサバ 魚種写真
学名 Scomber japonicus
系群名 対馬暖流系群
担当水研 西海区水産研究所

生物学的特性

寿命: 6歳程度
成熟開始年齢: 1歳(60%)、2歳(85%)、3歳(100%)
産卵期・産卵場: 1~6月、東シナ海南部の中国沿岸~東シナ海中部、朝鮮半島沿岸、九州・山陰沿岸
索餌期・索餌場: 東シナ海~黄海・日本海、春~夏季に索餌のため北上回遊、秋~冬季に越冬・産卵のため南下回遊
食性: 主に、オキアミ類、アミ類、橈脚類などの浮遊性甲殻類、カタクチイワシなど小型魚類
捕食者: 稚幼魚は魚食性の魚類に捕食される

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漁業の特徴

東シナ海・黄海・日本海のマサバ漁獲の大部分はまき網漁業による。資源管理は大中型まき網漁業の漁場(海区制)内の許可隻数を制限するなどの努力量管理の形で行われてきた。1997年からはさば類(マサバ・ゴマサバ)としてTAC(漁獲可能量)による資源管理が実施されている。

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漁獲の動向

我が国の漁獲量は、1970年代後半は30万トン前後であったが、1990年代初めに15万トンほどに落ち込んだ。その後、1996年に41万トンまで増加したが、2000年以降、概ね8~12万トンの低い水準で推移している。近年の漁獲量は、2010年から減少傾向にあり、2013年に6万トンと1973年以降で最も低い値となったが、2014年は9万トンに増加した。韓国は2014年に13万トン、中国は2013年に51万トン(さば類)を漁獲した。

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資源評価法

1973年以降の日・韓の年齢別・年別漁獲尾数に基づき、大中型まき網の年齢別資源密度指数と0歳魚の資源量指標値を用いてチューニングをしたコホート解析により、資源量を計算した。

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資源状態

資源量は1973~1996年は100万トン前後で比較的安定していたが、2000年以降は50万トン前後に留まっている。2014年の資源量は57万トンと推定され、過去最低だった2013年を上回った。漁獲割合は40~50%と比較的高い水準で推移している。加入量は、2009年以降、低い水準だったが、2014年は2008年以来の高い加入量となった。親魚量は、1997年以降低い値が続き、2014年は12万トンであった。親魚量と加入量の間に正の相関があり、資源回復の閾値(Blimit)を1997年の親魚量水準(25万トン)とした。過去42年間の資源量の上位1/3を高位、Blimitを中位と低位の境界とした。2014年の親魚量はBlimitを下回っているため、資源水準は低位、動向は最近5年間(2010~2014年)の資源量の推移から横ばいと判断した。

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管理方策

2014年の親魚量はBlimitを下回っており、親魚量の回復を図る必要があることから、5年後(2021年当初)にBlimitへ回復が期待されるF(Frec1)、Fmedを2014年親魚量とBlimitの比で引き下げたF(Frec2)、およびF30%SPRによる漁獲シナリオを設定し、ABCを算出した。さらにFcurrent、Fmedによる漁獲量を算定漁獲量とした。2015年以降の加入量は、再生産成功率を過去24年間(1990~2013年)の中央値6.9尾/kg とし、その値に年々の親魚量を乗じた値とした。
 
漁獲シナリオ
(管理基準)
Limit/
Target
F値
(Fcurrentとの
比較)
漁獲割合
(%)
将来漁獲量
(千トン)
確率評価
(%)
2016年
漁期ABC
(千トン)
5年後 5年平均 2014年
親魚量を
維持
(5年後)
Blimitへ
回復
(5年後)
親魚量の増大
(B/Blimit×Fmed)
(Frec2)
Limit 0.42
(0.42Fcurrent)
24 235

450
235 100 100 132
Target 0.34
(0.33Fcurrent)
20 226

421
214 100 100 112
親魚量の増大
(F30%SPR)
Limit 0.46
(0.45Fcurrent)
25 221

472
241 100 98 141
Target 0.37
(0.36Fcurrent)
21 221

427
220 100 100 119
親魚量の回復
(5年で
Blimitへ回復)
(Frec1)
Limit 0.73
(0.73Fcurrent)
36 131

451
233 92 52 191
Target 0.59
(0.58Fcurrent)
31 182

484
247 99 87 167








2016年漁期
算定漁獲量
(千トン)
親魚量の維持
(Fmed)
Limit 0.89
(0.88Fcurrent)
41 94

385
221 64 18 211
Target 0.71
(0.71Fcurrent)
35 136

461
242 93 60 187
現状の
漁獲圧の維持
(Fcurrent)
Limit 1.01
(1.00Fcurrent)
45 73

311
204 33 5 225
Target 0.81
(0.80Fcurrent)
39 118

448
232 83 35 201
定義
  • Limitは、各漁獲シナリオの下で許容される最大レベルのF値(漁獲係数)による漁獲量である。Targetは、資源変動の可能性やデータ誤差に起因する評価の不確実性を考慮し、各漁獲シナリオの下でより安定的な資源の増大または維持が期待されるF値による漁獲量である。Ftarget = α Flimitとし、係数αには標準値0.8を用いた
  • Fcurrentは2012~2014年のFの平均、漁獲割合は2016年漁期漁獲量/資源量(資源量は2016年1月と2017年1月時点推定値の平均)、F値は各年齢の平均値
  • 2016年漁期は2016年7月~2017年6月
  • 将来漁獲量の幅は80%区間を示す
  • 漁獲シナリオにある「親魚量の維持」は、中長期的に安定する親魚量での維持を指す
コメント
  • 本系群のABC算定には、規則1-1)-(2)を用いた
  • 海洋生物資源の保存及び管理に関する基本計画第3に記載されている本系群の中期的管理方針では、「大韓民国及び中華人民共和国等と我が国の水域にまたがって分布し、外国漁船によっても採捕が行われていて我が国のみの管理では限界があることから、関係国との協調した管理に向けて取り組みつつ、当面は資源を減少させないようにすることを基本に、我が国水域への来遊量の年変動も配慮しながら、管理を行うものとする。」とされており、親魚量の維持シナリオから得られる漁獲係数未満であれば、資源を増大させることができると考えられる
  • 韓国による漁獲は考慮したが、中国による漁獲は考慮していない
  • 若齢魚の漁獲回避が、親魚量増大に有効な方策と考えられる

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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期待される管理効果

(1)漁獲シナリオに対応したF値による資源量及び漁獲量の予測
Frec2やF30%SPRでは、2016年に漁獲量が大きく減少するものの、その後の資源量の増加に伴い、漁獲量も増加に転じる。Fcurrentでは資源量、漁獲量とも減少する。
(2)加入量変動の不確実性を考慮した検討
Frec2とF30%SPRでは、親魚量は増加傾向を示し、高い確率でBlimitを上回る。Frec1では、親魚量は緩やかな増加傾向を示す。Fcurrentでは、親魚量は減少すると予測され、Blimitに回復する確率は低い。

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資源変動と海洋環境との関係

再生産成功率の変動には、海洋環境が深く関わっていると考えられる。再生産成功率の対数と親魚量に直線関係を当てはめ、直線からの残差を水温と比較した。その残差と東シナ海(北緯29度30分、東経127度30分)の2月の海面水温(気象庁保有データ)には、負の相関がある。水温に代表される海洋環境が、初期の生残に大きな影響を与えると想定されるが、詳細については不明な点が多く、今後の課題である。

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執筆者:黒田啓行・依田真里・安田十也・福若雅章

資源評価は毎年更新されます。