平成27年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 ゴマサバ 魚種写真
学名 Scomber australasicus
系群名 太平洋系群
担当水研 中央水産研究所

生物学的特性

寿命: 6歳程度
成熟開始年齢: 2歳(100%)
産卵期・産卵場: 12~翌年6月、伊豆諸島周辺以西の黒潮周辺域
索餌期・索餌場: 夏~秋季、常磐~房総半島以西沿岸、一部は三陸~道東沖まで回遊
食性: 仔稚魚期には浮遊性甲殻類、イワシ類のシラスなど、幼魚期以降は浮遊性甲殻類、小型魚類、イカ類など
捕食者: 幼魚期まではカツオなどの大型魚類等

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漁業の特徴

まき網漁業(大中型・中型)、火光利用さば漁業(たもすくい・棒受網漁業)、定置網漁業、釣り漁業によって周年漁獲される。漁場は陸棚上から陸棚縁辺、及び島しょ周辺や瀬などに形成される。まき網漁業と火光利用さば漁業では主に若齢魚、釣り漁業では高齢魚の割合が高く、定置網漁業では時期や海域によって組成が大きく異なる。漁業種別漁獲量はまき網漁業が最も多い。

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漁獲の動向

1982年漁期(7~翌6月)以降の年間漁獲量は、1995年漁期に10万トンを超え、2006年漁期に19.3万トンと過去最高となった。2014年漁期は11.4万トンで高い水準にある。

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資源評価法

7~翌6月の漁期を年単位とする年齢別漁獲尾数を使ったコホート解析により資源量を推定した。最近年の漁獲係数は、4つの資源量指標値を加入尾数に適合させるチューニングを行って推定した。自然死亡係数は0.4とした。2014年及び2015年の加入量については、2013年までの加入量と資源量指標値との重回帰式によって推定した。

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資源状態

1995~2014年の資源量は、概ね安定した加入の継続と1996、2004年の高い加入量によって、1995~2003年の30万トン前後から、2004~2008年は49万~66万トンに増加し、さらに2009年の高い加入量によって2009年以降は69万トン以上の高い水準にある。2014年は79.1万トンであった。1995年以降には極端な加入量の低下はみられないことから、この期間の最低親魚量の1996年水準(3.8万トン)をBlimitとした。2014年の親魚量は39.7万トンと1995年以降で最も高い値であり、Blimitを大きく上回っている。資源水準の基準は、中位と低位の境界はBlimitである親魚量3.8万トンとし、中位と高位の境界は、分布域が太平洋北区へ顕著に拡大して、北区での漁獲が増加する水準である資源量30万トンとした。資源水準は高位、動向は過去5年間(2010~2014年)の資源量の推移から横ばいと判断した。

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管理方策

現状の漁獲圧(Fcurrent)で将来的に資源量は高い水準で推移すると見込まれ、資源の持続的な利用が可能な状態にある。漁獲圧を現状より低減しても親魚量の増加に比例した加入量の増加は見込めないため、資源量の増加による漁獲量の増加は期待できない。現状より過大でない程度で漁獲圧を高めた場合(F30%SPR、F20%SPR)には、Blimitを十分上回る水準での親魚量の維持と漁獲量の増加が見込まれる。
漁獲シナリオ
(管理基準)
Limit/
Target
F値
(Fcurrentとの
比較)
漁獲割合
(%)
将来漁獲量
(千トン)
確率評価
(%)
2016年
漁期ABC
(千トン)
5年後 5年平均 資源量
高位水準維持
(5年後)
Blimitを
維持
(5年後)
現状の
漁獲圧の維持
(Fcurrent)
Limit 0.37
(1.00Fcurrent)
23 134

246
178 100 100 183
Target 0.30
(0.80Fcurrent)
19 121

216
157 100 100 153
親魚量を
高水準で維持
(F30%SPR)
Limit 0.50
(1.35Fcurrent)
29 146

282
207 100 100 232
Target 0.40
(1.08Fcurrent)
25 137

261
188 100 100 195
親魚量を
Blimit以上で維持
・漁獲量の増加
(F20%SPR)
Limit 0.77
(2.09Fcurrent)
40 145

313
240 100 100 314
Target 0.62
(1.67Fcurrent)
34 150

309
226 100 100 270
定義
  • Limitは、各漁獲シナリオの下で許容される最大レベルのF値(漁獲係数)による漁獲量、Targetは、資源変動の可能性や誤差に起因する評価の不確実性を考慮し、各漁獲シナリオの下でより安定的な資源の増大または維持が期待されるF値による漁獲量
  • Ftarget=αFlimit、係数αは標準値0.8を用いた
  • Fcurrentは2010~2014年のFの平均値
  • 漁獲割合は2016年漁期漁獲量/資源量
  • F値は各年齢の平均値
  • 将来漁獲量の幅は80%区間
  • 2016年漁期は2016年7月~2017年6月
コメント
  • 本系群のABC算定には規則1-1)-(1)を用いた
  • 海洋生物資源の保存及び管理に関する基本計画第3に記載されている本系群の中期的管理方針では、「資源を中位水準以上に維持することを基本方向として、管理を行う」とされている
  • 2014年の資源量は非常に高い水準にあるため、いずれの漁獲シナリオでも高い確率で資源量高位水準(資源量30万トン以上)を維持する

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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期待される管理効果

(1)漁獲シナリオに対応したF値による資源量及び漁獲量の予測
親魚量と再生産成功率の回帰式と推定親魚量により、加入量を予測した。Fcurrentでは資源量は高い水準で維持されるが漁獲量の増加は見込めない。F30%SPR、F20%SPRでは資源量は高い水準で維持され漁獲量は増加する。
(2)加入量変動の不確実性を考慮した検討
親魚量と再生産成功率の回帰式と、回帰式からの観測値の残差のリサンプリングによって加入量を与える1,000回の試行で検討した。2021年漁期当初の親魚量がBlimitを上回る確率は、Fcurrent、F30%SPR、F20%SPRのすべてのシナリオで100%となった。

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執筆者:由上龍嗣・渡邊千夏子・上村泰洋・梨田一也・岸田 達

資源評価は毎年更新されます。