平成27年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 サンマ 魚種写真
学名 Cololabis saira
系群名 太平洋北西部系群
担当水研 東北区水産研究所

生物学的特性

寿命: 約2年
成熟開始年齢: 0歳(一部)、1 歳(100%)
産卵期・産卵場: 9~翌年6月、主な産卵海域は、秋季および春季が黒潮・親潮移行域、冬季が黒潮域~黒潮続流域の、日本沿岸から東方沖合域
索餌期・索餌場: 5~8月頃、移行域北部・亜寒帯水域
食性: 動物プランクトン
捕食者: ミンククジラなどの鯨類、ハイイロミズナギドリ、ウトウなどの鳥類、ギンザケ、ビンナガなどの大型魚類

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漁業の特徴

サンマ漁獲量の99%はさんま棒受網(棒受網)により漁獲される。農林水産大臣許可のさんま棒受網漁業の漁期は8~12月である。漁場は千葉県以北の太平洋側の日本EEZ内がほとんどであり、8月は北海道東部沖から千島列島沖、9月下旬~10月上旬には三陸沖、11~12月には常磐から房総沖まで達する。このほか小規模ながら、北海道東部沖で流し網が、熊野灘で棒受網が行われ、日本海を含む各地の定置網でも漁獲される。我が国以外では、台湾、韓国および中国が主に北太平洋公海域で、ロシアが主にEEZ 内で漁獲をしている。

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漁獲の動向

全漁業国の漁獲量は、2000年以降の外国漁船の漁獲量の増加により、2008年には60.6万トンに達した。2009~2013年までは40万トン台で推移したが、2014年に再び増加し、62.5万トンと過去最大となった。日本の漁獲量は、2010年以降は20万トン前後で推移し、2014年は22.5万トンであった。全漁業国の漁獲量に占める日本の割合は近年低下し、2010年以降は毎年50%を下回り、2014年は36%であった。

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資源評価法

資源量および体長階級別・年齢別資源尾数は、6~7月に東経143度~西経165度の海域で実施した表層トロール調査データから、面積密度法によって求めた。また、体長階級別・年齢別漁獲尾数は、日本の棒受網の漁獲量と魚体測定結果、年齢査定結果および全漁業国の漁獲量から推定した。

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資源状態

資源の指標値である標準化CPUE、親魚量、加入尾数および資源量は、2010年に減少してからは横ばいで推移している。2014年の標準化CPUEは3.17トン/操業、2014年の親魚量は前年よりやや減少して99万トン、2014年の加入量は調査開始後の2003年以降では2番目に少ない381億尾、2015年資源量は前年をやや下回り227万トンであった。一方、漁獲割合は2003年以降増加傾向にあり、2014年は過去最高の24.7%であった。資源水準は1980~2014年の標準化CPUEの平均値±標準偏差を境に上から高位、中位、低位とした。資源水準は中位、動向は過去5年間(2011~2015年)の調査船による資源量推定値の推移から横ばいと判断した。Blimitは未設定であるが、2003年以降の最低親魚量69万トンより小さいと考えられる。

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管理方策

2009年以前に比べ漁獲割合は上昇しており、2014年の漁獲量および漁獲割合は過去最高となった。このことから、今後、漁獲圧の上昇による資源への影響に十分注意する必要がある。中長期的に親魚量を維持することを管理目標とし、「現状の親魚量の維持(Fmed)」の漁獲シナリオに基づき2016年漁期のABCを算定した。
   
漁獲シナリオ
(管理基準)
Limit/
Target
F値
(Fcurrentとの
比較)
漁獲割合
(%)
将来漁獲量
(千トン)
確率評価
(%)
2016年
漁期ABC
(千トン)
5年後 5年平均2015年末
予測親魚量を
維持(5年後)
2003年
以降の
最低親魚量を
維持(5年後)
親魚量の維持
(Fmed)
Limit 0.22
(0.69Fcurrent)
16 167

545
357 39 62 363
Target 0.18
(0.55Fcurrent)
13 148

489
303 50 72 295








2016年漁期
算定漁獲量
(千トン)
現状の
漁獲圧の維持
(Fcurrent)
Limit 0.33
(1.00Fcurrent)
23 191

624
458 18 38 511
Target 0.26
(0.80Fcurrent)
19 176

582
397 31 53 418
定義
  • Limitは、各漁獲シナリオの下で許容される最大レベルのF値(漁獲係数)による漁獲量。Targetは、資源変動の可能性やデータ誤差に起因する評価の不確実性を考慮し、各漁獲シナリオの下でより安定的な資源の増大または維持が期待されるF値による漁獲量
  • ABC算定規則1-3)-(2)よりFlimit=基準値(Fmed)×β1、Ftarget = α Flimitとし、係数αは標準値0.8を用いた。β1は資源の回復能力などにより決定される係数で1.0とした
  • Fは1歳魚に対する漁獲係数で、Fcurrentは直近3年(2011~2013年級群;2012~2014年漁期)の平均値
  • 漁獲割合は2016年予測資源量(221.8万トン)に対する漁獲量
  • 漁獲シナリオにある「親魚量の維持」は中長期的に安定する親魚量の維持を図る漁獲シナリオであり、Fmedを適用した。Fmedは、2010~2014年の再生産成功率の中央値(RPSmed:47.4尾/kg)に対応するFとした
  • 将来漁獲量と確率評価は、2010年以降の再生産成功率を無作為反復抽出するシミュレーション(10,000回試行)による結果
  • 将来漁獲量において、「5年後」は2020年の漁獲量の80%区間、「5年平均」は2016~2020年の平均漁獲量をそれぞれ示す
  • 確率評価は2020年末時点とした。また、「2003年以降の最低親魚量を維持」の最低親魚量は、2012年末の親魚量69.4万トン
  • 2016年漁期は、2016年7月~2017年6月
コメント
  • 本系群のABC算定は、規則1-3)-(2)を用いた
  • 現状の漁獲による資源への悪影響は見いだされていないが、Fが近年上昇傾向を示していることから、漁獲による親魚量の減少に留意し、今後の資源動向については毎年の調査船調査で得られる資源量(調査船資源量)、漁獲圧、再生産成功率に十分注意を払う必要がある
  • 海洋生物資源の保存及び管理に関する基本計画第3に記載されている本系群の中期的管理方針では、「漁獲量の増大により漁獲金額が減少する傾向に留意し、将来に向けて安定的な供給を確保する観点から、資源に悪影響を与えない範囲内において、漁獲可能量を設定するものとする。」とされており、親魚量の維持シナリオから得られる漁獲係数以下であれば資源が維持または増大することが見込まれる

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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期待される管理効果

(1)漁獲シナリオに対応したF値による親魚量及び漁獲量の予測
Fmedで漁獲を続けると、親魚量は90万~100万トンで推移すると予測され、Fcurrentでは2016年の漁獲量は一時的に増加するものの、2017年以降、漁獲量、親魚量ともに減少する。 資源量はFmedで漁獲を続けると、220万トンで中長期的に安定するが、Fcurrentでは毎年減少し、2020年には180万トンを下回ると予測される。
(2)加入量変動の不確実性を考慮した検討
管理開始5年後(2020年)に2015年末の親魚量(92万トン)を維持する確率は39%、2003年以降の最低親魚量である2012年末の親魚量(69.4万トン)を維持する確率は62%であった。

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資源変動と海洋環境との関係

資源水準の指標として用いている1980年以降の標準化CPUEと、海洋・大気環境の指標である太平洋十年規模振動(Pacific Decadal Oscillation:PDO)や北太平洋指数(North Pacific Index:NPI)、North Pacific Gyre Oscillation: NPGOなどの値を比較したが、これらの指標との明確な関係は見られない。サンマは産卵期が長く産卵する海域も広いため、海洋環境が資源変動に与える影響は複雑であり、1つの指数から資源の変動メカニズムを説明することは難しいと考えられる。

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執筆者:巣山 哲・中神正康・納谷美也子・加藤慶樹・柴田泰宙・酒井光夫・竹内幸夫

資源評価は毎年更新されます。