平成28年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 ズワイガニ 魚種写真
学名 Chionoecetes opilio
系群名 オホーツク海系群
担当水研 北海道区水産研究所

生物学的特性

寿命: 不明(10歳以上)
成熟開始年齢: 年齢は不明、50%成熟甲幅は、雌63mm、雄106mm
産卵期・産卵場: 5~6月(初産・経産とも時期は同じ)、北見大和堆の北西部の水深150~200mの海底
食性: 不明
捕食者: マダラ、トゲカジカ

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漁業の特徴

漁業は沖合底びき網漁業(沖底)のオッタートロール漁船(オッター)とかけまわし漁船、および沿岸漁業の刺網漁船により行われている。沖底は春の産卵期に北見大和堆北西部に密集する群れを対象に行われており、漁獲の大半はこの時期に集中している。ズワイガニは日本水域からロシア水域にかけて連続的に分布しており、日本漁船は分布域の南端部の資源を利用している。1980年代中頃まで、日本水域における沖底によるズワイガニの漁獲は僅かであった。ロシア水域での漁獲規制強化、日本水域でのスケトウダラ漁獲量減少に伴い、1990年代初めに沖底の漁獲対象種をスケトウダラからズワイガニに変えたことで漁獲量は一時増加した。農林水産省令によって操業期間は10月16日~翌年6月15日、甲幅90mm以上の雄のみ漁獲が認められている。

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漁獲の動向

漁獲量は1999年漁期(7~翌年6月)以降減少を続け、2011年漁期には60トンとなったが、その後増加し2014年漁期は332トン、2015年漁期は905トン(沖底オッター:509トン、沖底かけまわし:301トン、沿岸漁業:94トン)であった。2015年漁期は、ズワイガニ狙いの操業が増えたこと等により漁獲量が多かったと考えられる。漁獲努力量は、オッター、かけまわし共に増減しながら2011年漁期まで減少を続けたが、その後はやや増加した。

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資源評価法

ロシア水域に分布するズワイガニとの関係(移動、再生産)が不明であるため、日本水域での主要な漁業である沖底の1985年漁期以降の漁法別の単位努力量当たりの漁獲量(CPUE)、および春季の調査船調査による分布密度に基づき評価を行った。

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資源状態

オッターとかけまわしのCPUEは共に1989年以降低下傾向を示し、1996年からは上昇したが2000年以降は再び低下した。2013~2014年漁期は近年では高い値となった。調査船調査による分布密度は、2005年に減少した後、2010年まで次第に増加したが、その後減少に転じている。資源水準は、過去30年間(1985~2014年漁期)の沖底の漁法別CPUEの最高値~最低値をそれぞれ3等分して、高位、中位、低位とした。2014年漁期のオッターCPUEおよびかけまわしCPUEはいずれも低位と位置付けられ、資源水準は低位と判断した。資源動向については、沖底の漁獲量が近年は極めて少ない年もあり、近年の資源状態を詳細に反映していない可能性があるため、漁獲対象となる甲幅90㎜以上の雄の分布密度に基づき判断した。直近5年間(2012~2016年)の分布密度(漁獲対象)の推移から資源動向は減少と判断した。

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管理方策

資源水準は低位であるが、本系群はロシア水域とのまたがり資源であり、漁獲圧削減の効果は不明である。また、分布域全体の漁獲規模に対する我が国の近年の漁獲量から判断して、現状の日本漁船による漁獲圧は、資源にとって過大ではないと考えられる。したがって、資源の動向に合わせて漁獲を行うことを管理方策とする。
漁獲シナリオ
(管理基準)
Target/Limit F値
(Fcurrentとの比較)
漁獲割合
(%)
2017年漁期
算定漁獲量
(トン)
Blimit=
親魚量5年後
(トン)
資源の動向に
合わせた漁獲
(1.0・Cave3-yr・0.38)
Target 160
Limit 200
定義
  • Limitは、漁獲シナリオの下で許容される最大レベルの漁獲量。Targetは、資源変動の可能性やデータ誤差に起因する評価の不確実性を考慮し、漁獲シナリオの下でより安定的な資源の維持が期待される漁獲量
  • ABClimit=δ1・Ct・γ1、ABCtarget=ABClimit・αで計算し、係数αには標準値0.8を用いた
  • 資源水準は低位であるが漁場が分布域の南端に限られており、日本漁船の漁獲努力が対象資源に大きな影響を及ぼしていないと判断されることからδ1は1.0とした
  • Cave3-yr は、2013~2015年漁期の平均漁獲量
  • γ1(0.38)は、γ1=1+k(b/I)で計算した。kは標準値の1.0とし、b(-54.0)とI(67)は資源量指標値の傾きと平均値(直近3年間(2013~2015年)である
  • 2017年漁期は2017年7月~2018年6月
  • 2017年漁期算定漁獲量は、10トン未満を四捨五入した
コメント
  • 本系群の算定漁獲量の計算には、規則2-1)を用いた
  • 本系群については、既存の情報からは資源量の算定が困難なため、F値(漁獲係数)、漁獲割合、将来漁獲量の算定、定量的な評価は行っていない
  • 海洋生物資源の保存及び管理に関する基本計画第3に記載されている本系群の中期的管理方針では、「オホーツク海系群については、ロシア共和国連邦の水域と我が国の水域にまたがって分布し、同国漁船によっても採捕が行われていて我が国のみの管理では限界があることから、同国との協調した管理に向けて取り組みつつ、当面は資源を減少させないようにすることを基本に、我が国水域への来遊量の年変動にも配慮しながら、管理を行うものとする。」とされており、資源の動向に合わせた漁獲の継続であれば、資源が現状よりさらに低下する可能性は低いと考えられる
  • 漁場外の水域(ロシア水域等)からの来遊量が毎年変化することに注意が必要である

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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資源変動と海洋環境との関係

東部ベーリング海において、流氷、浮遊期における風力と風向、その他の海洋環境によりズワイガニの資源が変動すると報告されている。オホーツク海でも、流氷や東樺太海流、宗谷暖流などの海洋環境がズワイガニの資源の多寡に影響していると考えられる。

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執筆者:濱津友紀・森田晶子・山下夕帆・船本鉄一郎

資源評価は毎年更新されます。