平成28年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 キチジ 魚種写真
学名 Sebastolobus macrochir
系群名 太平洋北部
担当水研 東北区水産研究所

生物学的特性

寿命: 20歳程度
成熟開始年齢: 雄5歳(100%)、雌10歳(11%)、11歳(35%)、12歳(69%)、16歳(100%)
産卵期・産卵場: 1~4月、青森県~茨城県の太平洋岸沖全域
食性: エビ類、オキアミ類、クモヒトデ類、端脚類、多毛類、魚類
捕食者: マダラ、アブラガレイ

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漁業の特徴

主に沖合底びき網漁業(沖底)で漁獲されるほか、小型底びき網漁業、底はえ縄、底刺網でも漁獲される。1990年代以降、沖底船は9~12月にスルメイカを狙って操業することが多くなっているため、スルメイカより深場に生息するキチジに対する漁獲圧は低下していると推測される。

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漁獲の動向

全漁業種類を合わせた漁獲量は1975年以降減少し、1997年には過去最低の258トンであった。その後、若干増加して2006~2010年には600トン前後となったが、東日本大震災(震災)の影響で2011年以降再び減少しており、2015年は475トン(暫定値)であった。沖底による漁獲が全体の9割以上を占めており、2015年の沖底の漁獲量は448トン(暫定値)であった。

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資源評価法

資源量は、秋季に実施しているトロール調査(水深150~900m、2015年は計122地点)から面積-密度法により推定した。調査海域は青森~茨城県沖で、太平洋北部のキチジの分布範囲をカバーしている。

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資源状態

資源量は2000年以降増加傾向にあり、2016年は最高値となる1.2万トンであった。資源量の増加は、1999~2002年級群の加入量が高い再生産成功率により増加し、この豊度の高い年級群が成長したことによるものと考えられる。2004年級群以降の再生産成功率は低い状態が続いているが、2013~2015年には小型個体が出現したと推測される。資源水準の区分基準は、1972~2010年の沖底の単位努力量当たり漁獲量(CPUE)の最大値と最小値を3等分した値の比を求め、それらを2010年の資源量に乗じて区分を設定し、資源量により資源状態を判断した。資源水準は、資源量が9,433トン以上を高位、6,118トン~9,433トンを中位、6,118トン以下を低位とし、2016年の資源量が1.2万トンであったことから高位と判断した。動向は、資源量の過去5年間(2012~2016年)の推移から増加と判断した。

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管理方策

2000年以降、資源量には増加傾向が認められる。一方で、2004年級群以降の再生産成功率は低い状態が続いている。このため、適切な漁獲で親魚量を維持し、今後の加入を促すことを管理目標とした。本資源は成長が遅く、成熟年齢が高齢であることから、F40%SPRを管理基準として2017年ABCを算定した。なお、キチジは、小型魚の魚価が安く、取り残して成長させれば単価が急激に上昇する。体長15cm以下の小型魚を保護することにより親魚量が増加し、その後の加入量の増加も期待できるため、漁獲開始年齢の引き上げはキチジの資源管理に有効な方策と考えられる。
管理基準 Target/Limit F値 漁獲割合
(%)
2017年ABC
(トン)
Blimit=
親魚量5年後
(トン)
F40%SPR Target 0.046 4.3 440
Limit 0.058 5.3 550

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資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

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執筆者:服部 努・成松庸二・柴田泰宙・鈴木勇人・永尾次郎

資源評価は毎年更新されます。