平成28年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

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標準和名 トラフグ 魚種写真
学名 Takifugu rubripes
系群名 日本海・東シナ海・瀬戸内海系群
担当水研 瀬戸内海区水産研究所

生物学的特性

寿命: 10歳
成熟開始年齢: 雄2歳(100%)、雌3歳(100%)
産卵期・産卵場: 3~6月、八郎潟周辺、七尾湾、若狭湾、福岡湾、有明海、八代海、関門海峡周辺、布刈瀬戸、備讃瀬戸等
食性: 仔魚後期までは動物プランクトン、稚魚は底生性の小型甲殻類、未成魚以降は魚類、エビ・カニ類
捕食者: 不明

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漁業の特徴

八郎潟周辺、七尾湾、若狭湾、福岡湾、有明海、八代海、関門海峡周辺、布刈瀬戸及び備讃瀬戸では3~6月に2歳魚以上の親魚が定置網、釣、敷網によって漁獲され、7~翌年1月に0歳魚が定置網、小型底びき網、釣、はえ縄によって漁獲される。日本海、東シナ海の沖合、豊後水道及び紀伊水道では12~翌年3月にはえ縄によって漁獲される。本種は栽培対象種であり、2015年は約185万尾の人工種苗が放流され、0歳魚に占める放流魚の混入率は30%、添加効率は0.07と推定された。

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漁獲の動向

本系群の漁獲統計は存在しない。漁獲のある各府県の調査で得られた2002年漁期以降の21府県の合計漁獲量は、2002年漁期(4〜翌年3月)の360トンから減少傾向で、2015年漁期は233トンであった。長期間のデータがそろっている下関唐戸魚市場(株)の外海産と内海産を合算した取扱量は1984、1987年漁期には1,700トンを超えたが、1997年漁期以降は109〜336トンと低水準で推移し、2015年漁期は136トンであった。

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資源評価法

2002~2015年漁期の年齢別漁獲尾数を基に、コホート解析により資源量を推定した。自然死亡係数は0.25と仮定した。資源量に比べ、下関唐戸魚市場(株)の内海産取扱量は長期にわたるデータがあることから、資源水準は内海産取扱量、動向は資源量から判断した。

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資源状態

資源量は2002年漁期から2013年漁期まで900〜1,072トンの間で横ばいで推移したが、2014年漁期は873トンに減少し、2015年漁期は883トンであった。2015年漁期の親魚量は436トンでゆるやかな増加傾向にある。近年、再生産成功率が低迷している。下関唐戸魚市場(株)の内海産取扱量のうち極端に多い1984年漁期と1987年漁期を除いて、0〜最大値で3等分し、472トン以上を高位、236〜471トンを中位、236トン未満を低位とした。2015年漁期の取扱量は42トンであったため、資源水準は低位と判断した。直近5年間(2011年漁期~2015年漁期)の資源量の推移から動向は減少と判断した。現状の漁獲圧を保ちながら漁獲開始年齢を現状の0歳から1歳へ遅らせた場合に期待される加入量当たりの漁獲量は16%増大することから、0歳からの漁獲の開始は成長乱獲を引き起こしていることが示唆された。親魚量と天然加入尾数には明瞭な再生産関係は認められなかった。

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管理方策

再生産成功率が低迷していることから、現状の漁獲及び人工種苗放流が継続された場合、資源量は減少を続けると推定される。また、これまで増加傾向であった親魚量も2019年漁期以降減少すると予測される。本系群の資源回復のためには、漁獲圧の緊急な削減に加えて、効率的な資源添加などの加入量を増やす努力が求められる。本系群は資源量を2026年漁期に960トンに回復させることが平成27年度トラフグ資源管理検討会議で了承されていることから、本目標を管理目標とし、2017年ABCを算定した。本系群は複数の産卵場及び成育場を有していることから、それぞれの海域における漁獲実態や資源状況に応じた漁獲規制や保護を行うことも必要と考えられる。また、2015年漁期の加入尾数は近年においては比較的多い可能性があるため、本系群の資源回復のためには2015年級への漁獲抑制が重要である。
管理基準 Target/Limit F値 漁獲割合
(%)
2017年ABC
(トン)
Blimit=
親魚量10年後
(トン)
0.80Fcurrent Target 0.21 17 153 693
Limit 0.26 21 186 482

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資源評価のまとめ

  • 下関唐戸魚市場(株)の内海産取扱量の推移から資源水準は低位
  • 資源量の推移から動向は減少
  • 2015年漁期の資源量は833トン、親魚量は436トン
  • 再生産成功率は2006年漁期以降低迷
  • 管理方策のまとめ

  • 2026年漁期に960トンに資源量を回復させることを管理目標とし、2017年ABCを算定した
  • 漁獲圧の削減に加えて、効率的な種苗放流などの加入量を増やす努力が求められる
  • 各産卵場及び成育場においてそれぞれの海域における漁獲実態や資源状況に応じた漁獲規制や保護を行うことが必要
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    執筆者:片町太輔・石田 実

    資源評価は毎年更新されます。