我が国は,平成8年に国連海洋法条約を締結し排他的経済水域を設定しました。同条約においては,沿岸国が自国の排他的経済水域内の水産資源の適切な保存管理措置を講ずることが定められており,その趣旨に沿った水産資源の保存管理を図るため,韓国や中国との間で漁業協定を締結し,漁業秩序の確立を図ってきました。

一方では,我が国周辺水域においては開発行為による藻場・干潟の消失等の漁場環境の悪化や漁船の大型化,高性能化に伴う漁獲能力の向上によって水産資源の状態が悪化し,漁獲量の減少を招いています。

こうした中で,我が国水産業が国民の求める水産物を将来にわたって安定的に供給する産業として持続的に発展し,国民生活の安定に貢献していくためには,水産資源を適切に管理しその持続的利用を図ることにより重点を置いて漁業生産の増加・安定に努めていく必要があります。

我が国ではこのような考えを踏まえ,新たな海洋秩序の下で,水産資源の適切な管理により水産資源を持続的に利用し,水産物の安定的な供給を図るための新たな政策の枠組みを示す「水産基本法」が今国会で成立しました。

特にこの法律の中では「国は,排他的経済水域等における水産資源の適切な保存及び管理を図るため,最大持続生産量を実現することができる水準に水産資源を維持し又は回復させることを旨として,漁獲量及び漁獲努力量の管理その他必要な施策を講ずるものとする(法第13条)」,「国は,水産資源の適切な保存及び管理に資するため,水産資源に関する調査及び研究その他必要な施策を講ずるものとする(第15条)」ことが規定されており,今後漁獲量や漁獲努力量を積極的に管理していく措置やそのために必要な資源調査等の施策が講じられることとなっています。

上記の水産基本法の規定にもあるとおり,漁獲量や漁獲努力量を適切に管理していくためには,科学的なデータに基づいて適切に行うことが必要です。もし,資源の状態と漁業の管理がバランスがとれないと,過剰な漁獲によって資源の状態が一層悪化したり,漁獲できる水準を大きく下回って管理され,安定的な水産資源の供給が妨げられたりすることになります。孫子の兵法曰く「敵を知り,己を知らば百戦危うからず」とありますが,漁業でも敵(水産資源の状態)を知り,己(漁業の状態)を知ることが,適切な管理と持続的利用につながります。資源評価とは,このように資源調査を通じて水産資源の状態や漁業の状態の的確な把握を図るものです。