いわし類の資源量の推移

いわし類三種の資源量を比較すると、マイワシがもっとも資源量が増大し、ついでカタクチイワシであり、ウルメイワシの資源量はさほど大きくないことが分かりました。三種の対馬暖流域における分布域を考えると、分布域をもっとも広く活用できるのがマイワシであり、ついでカタクチイワシ、ウルメイワシとなります。

マイワシは1980年代始めに卓越した年級群が現れ、その後もしばらく連続して卓越した年級群が現れたことにより、マイワシ資源は急速に増大しました。しかしながら、1980年代後半に水温が上昇し、産卵期や産卵場所および輸送条件やプランクトン量などが変化することにより、マイワシが日本海を広く活用することがなくなったため加入量が減少し、資源量の減少に伴い、漁獲強度が強くなり資源量の急激な減少を招いたと考えられます。

逆に、カタクチイワシにとってはマイワシ資源が減少し競合条件が大きく緩和されたことや1990年代後半に動物プランクトンの量が増加したこともあり、カタクチイワシ資源が増加したと考えられます。生態がカタクチイワシと似ているウルメイワシは、カタクチイワシ資源が増加するにあわせて、資源量が減少しました。2000年以降にカタクチイワシ資源がやや減少するにあわせて、ウルメイワシの資源量がやや回復しました。

このように、環境変動に対するいわし類の応答の他に、お互いのいわし類の競合関係も資源変動の要因となります。