水産資源評価とは
水産資源評価の実施体制と進め方
資源評価の実施体制
平成 13 年 4月1日に中央省庁等改革に伴い、水産に関する調査・試験・研究を総合的に実施する機関としてこれまでの9カ所の水産庁水産研究所を統合して独立行政法人 水産総合研究センターが設立されました。
その際、これまで水産庁水産研究所が取り組んできた資源評価や漁海況予報については国からの委託(当時の事業名「我が国周辺水域資源調査等推進対策」)を受け、引き続き取り組むことになりました。
平成26年4月1日に国立研究開発法人 水産研究・教育機構(以下、「水研機構」)が発足し、この事業を引き継いでいます。
この委託事業は、資源評価、漁海況予報等より構成され、これらを有機的、効率的かつ円滑に推進するために水研機構に「事業推進会議」を組織し、事業全体の計画・実施をつかさどるとともに、その下に部会組織を設け、個別の事業はその部会の指揮の下で実施されるシステムをとっています。
このうち、資源調査・評価は、「資源調査・評価部会」において資源評価調査全体の枠組みを統括しつつ、調査が進められることになっています。また、魚種横断的な事項への対応や技術的な課題の解決にあたるため、種々のワーキンググループ等を組織し、調査や評価の効率的かつ円滑な実施を、サポートしています。
資源評価の実施体制
資源評価の進め方
水研機構では、都道府県の水産試験研究機関等と構成する共同実施機関として水産庁からの委託を受け、我が国周辺水域に分布している主要な水産資源の資源評価を実施しています。
2018 年度までは、漁獲可能量(TAC)制度対象種であるマアジ、マイワシ、マサバ、ゴマサバ、スケトウダラ、ズワイガニ、スルメイカを初めとする概ね 50種の約80系群(1つの種でも産卵場、分布、回遊等を異にする地域集団がある場合は系群として区分)について資源の評価を行ってきましたが、漁業法の改正を受けて 2018 年度より評価対象種を順次拡大し、2021年度からは先述の50種を含む192種を対象としています。
資源評価の対象としている 192 種には、我が国周辺水域に広範囲に分布・回遊するものから、ごく沿岸に生息しているものまでさまざまであり、それぞれの特性に応じた調査を実施しています。
とりわけ、広範囲に分布・回遊する種の資源状態を把握するのは容易ではありません。対象資源の分布・回遊状況に応じて適切な時期や場所を選んだ上で、調査船による調査や市場における漁獲物調査を体系的に実施することが必要です。
魚種によっては、音響探査や遺伝情報の活用など最先端の技術の導入や、複数の調査船が漁場内の資源を一⻫に調査する大規模な取組みを行っているものもあります。
調査の計画、実施、得られた結果の解析を行って資源評価結果を公表するまでの、①調査の企画・立案、②調査の実施、③調査結果に基づく資源評価の実施という3つの過程を通し、都道府県水産試験研究機関等と連携しながら取り組んでいます。
資源調査のフロー
- 調査の全体計画策定
- 魚種別系群別調査計画策定
- 参画機関への計画内容の周知
- 参画機関への技術的指導
- 調査・解析手法の高度化を目指した技術的事項の検
- 各漁船からの漁獲情報の収集・分析
- 水揚港における漁獲物の体長・体重等の測定
- 海洋調査(水温・塩分等の測定)
- 漁獲調査 (卵稚仔魚の採集、漁獲分布の分析等)
- 魚探調査 (資源量の直接推定)
- 標識放流 (回遊経路、成長速度の把握)
- 胃内容物分析
- 魚卵・稚仔魚の同定
- 餌生物(プランクトン)の同定
- 耳石標本作成
- 漁業の現状分析
- 資源の現状分析
- 資源診断
- 生物学的許容漁獲量(ABC)の算定