日本海沖合域におけるプランクトンの推移

気象庁舞鶴海洋気象台では年に数回ほど日本海の海洋観測を行って情報を公開しています。日本海で春季に調査されたデータから植物プランクトン量(細胞数)と動物プラントンの湿重量の平均値の偏差の経年変化を示しました。

春季はマイワシなどの浮魚類の仔魚や稚魚が加入してくる時期にあたり、この時期のプランクトン量は非常に重要な意味を持ちます。植物プランクトン量は、1980年代に正偏差で推移することが多く、1990年代以降は負偏差で推移することが多かったようです。一方、動物プランクトン量は、1980年代は負偏差で、1990年代後半以降は正偏差で推移することが多かったようです。いわし類ではマイワシのみ植物プランクトンを餌として利用することができるので、マイワシ資源が多かった時代に植物プランクトンが正偏差していることは興味深い現象です。

1990年代の日本海沿岸域における動物プランクトンの推移(前述)では、動物プランクトンの湿重量が負偏差である時に、マイワシ稚仔魚の重要な餌生物であるカイアシ類ノープリウス幼生の量は正偏差で推移している傾向もみられており、海洋環境によって動物プランクトンの種類や量が変化していると考えられます。今後、動物プランクトンの種組成と量などを明らかにしていくことが資源変動の機構解明に重要だと考えられます。