平成29年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

[詳細版へ]
標準和名 タチウオ 魚種写真
学名 Trichiurus japonicus
系群名 日本海・東シナ海系群
担当水研 西海区水産研究所

生物学的特性

寿命: 8歳程度
成熟開始年齢: 1歳(40%)、2歳(80%)、3歳(100%)
産卵期・産卵場: 産卵盛期は、日本海西部海域では秋期、東シナ海では春期。産卵場は主に黄海・渤海含めた中国沿岸及び我が国沿岸
食性: 小型個体は小型甲殻類、中・大型個体は小型魚類
捕食者: 共食い現象(越冬期、産卵期に多い)

▲このページのTOPへ

漁業の特徴

1980年代まで我が国の漁獲量の7~8割を以西底びき網漁業(以西)が占めていたが、近年は沿岸域でのひき縄釣、一本釣などの釣漁業、およびその他の漁業(はえ縄、定置網など)が主体となっている。大中型まき網漁業や沖合底びき網漁業(沖底)でも漁獲される。地域別ではひき縄釣漁業が盛んな長崎県や熊本県の漁獲が多い。我が国の他、東シナ海全域および黄海で中国、韓国により漁獲される。日韓暫定水域を除く我が国EEZ内では、韓国がはえ縄漁業を行っている。

▲このページのTOPへ

漁獲の動向

我が国の漁獲量は1960年代には5万トンを超えていたが、2016年は1,221トンであった。以西の漁獲量は、1967、1968年に5万トンを超えた後、衰退し、近年は50トン未満で推移している。沖底の漁獲量は、1960年代は2,000トンを超えていたが漸減し、2016年は17トンとなった。その他、大中型まき網、ひき縄等の漁獲量も一時は増加したが近年減少している。韓国の漁獲量は、1991年以降10万トンを下回り、2016年は3.2万トン(このうち1,241トンは日韓暫定水域を除く我が国EEZでの漁獲)であった。中国による南シナ海も含めたタチウオの漁獲量は2015年は約111万トンで、近年は100万トン以上で推移している。

▲このページのTOPへ

資源評価法

本系群の漁獲量の大部分は中国が占めると考えられるが、中国の正確な漁獲量や努力量などは不明であり系群全体の評価が困難であるため、本報告では我が国EEZにおける資源状態を評価する。また、釣漁業や大中型巻き網については長期の数値の蓄積がないため、以西(2そうびき)および沖底(2そうびき)の単位努力当たりの漁獲量(CPUE)と資源密度指数を用いて資源状態を判断した。以西(2そうびき)については、全体のCPUEに加えて、1966年から最新年まで操業が継続している農林漁区(標本農林漁区)におけるCPUEも使用した。また、東シナ海域における着底トロール調査による現存量推定値および日韓暫定水域を除く我が国EEZで操業する韓国はえ縄漁業のCPUEも判断の参考とした。

▲このページのTOPへ

資源状態

以西(2そうびき)全体のCPUE、資源密度指数、および標本農林漁区のCPUEは、2002年以降、極めて低い値で推移している。また、沖底(2そうびき)のCPUEおよび資源密度指数は、1960年代後半に大きく減少し、以降長期にわたり漸減傾向で推移している。さらに、着底トロール調査による現存量推定値にも回復は見られない。以上より、我が国EEZにおける資源水準は低位と判断した。直近5年間(2012~2016年)の以西(2そうびき)のCPUEおよび資源密度指数は減少傾向で推移しているが、沖底(2そうびき)のCPUEおよび資源密度指数、調査船調査による現存量推定値、日韓暫定措置水域を除く我が国EEZで操業する韓国はえ縄漁業のCPUEはいずれもほぼ横ばいで推移していることから、動向は横ばいと判断した。

▲このページのTOPへ

管理方策

現状の資源水準および我が国EEZにおける漁獲量の変動傾向に合わせた漁獲を行い、さらに我が国周辺で産卵する親魚を適切に管理することを管理方策としてABCを算出した。本資源に対する漁獲圧の大部分は外国漁船によるものであることから、資源を回復させるためには、関係各国との連携により漁獲圧を下げることが重要である。また我が国EEZ内において現在我が国と同程度の漁獲量を占める韓国漁船の漁獲圧も適切に管理し、我が国周辺での産卵親魚量を増加させることが必要である。さらに、我が国沿岸にも産卵場があることから、我が国EEZにおいて再生産もしくは生活史が完結する資源を独自に保護する方策が現段階では有効である。
管理基準 Target/Limit 2018年ABC
(百トン)
漁獲割合
(%)
F値
(現状のF値からの
増減%)
0.7・Cave3-yr・0.91 Target 16
Limit 20

▲このページのTOPへ

資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

▲このページのTOPへ


執筆者:青沼佳方・酒井 猛

資源評価は毎年更新されます。