平成28年度資源評価報告書(ダイジェスト版)

[詳細版へ]
標準和名 トラフグ 魚種写真
学名 Takifugu rubripes
系群名 伊勢・三河湾系群
担当水研 中央水産研究所

生物学的特性

寿命: 6歳程度
成熟開始年齢: 雄2歳(100%)、雌3歳(100%)
産卵期・産卵場: 4~5月、三重県安乗岬の沖合、愛知県渥美外海の出山周辺水域
食性: 仔魚後期までは動物プランクトン、稚魚期は端脚類、十脚類、多毛類、昆虫類、未成魚期はイワシ類、幼魚や甲殻類、成魚期は甲殻類や魚類
捕食者: 不明

▲このページのTOPへ

漁業の特徴

4~5月に産まれた0歳魚は秋季には伊勢湾及び三河湾で操業する小型機船底びき網(小底)で、冬季以降には渥美半島外海で操業する小底で漁獲される。1歳の秋季には伊勢湾口沖を中心とした海域でふぐはえ縄漁業の対象となる。天然資源の加入量の不安定さを緩和するためトラフグ人工種苗が大規模に放流されており、2015年漁期の放流尾数は71万尾、混入率は46%、添加効率は0.044であった。

▲このページのTOPへ

漁獲の動向

2001年級群が卓越年級群であったことにより、2002年漁期(4~翌年3月)の漁獲量は500トンを上回った。2003、2004年級群の加入が少なかったため2005年漁期は100トンを下回った。その後、2006年級群が中規模で加入したため2006~2009年漁期は200トン前後で安定した。2011~2013年漁期は100トンを下回る不漁が続いたが、2014年漁期から増加に転じ、2015年漁期は170トンとなった。

▲このページのTOPへ

資源評価法

1993~2015年漁期の0歳魚、1歳魚、2歳魚及び3歳以上をプラスグループとした年齢別漁獲尾数をもとに、資源量指標値を考慮したコホート解析により年齢別資源尾数を推定した。計算は自然死亡係数(M)を0.25と仮定して、Popeの近似式により行った。資源量指標値には1995年漁期以降のふぐはえ縄漁業の月別延べ出漁隻日及び1歳魚月別漁獲尾数からDeLury法により推定した1歳魚初期資源尾数を用いた。

▲このページのTOPへ

資源状態

資源量は2010年漁期から低位水準が続き、2011~2013年漁期は200トンを割り込んだ。2014年漁期からは200トン以上に回復し、2015年漁期の資源量は269トン、親魚量は89トンと推定された。過去23年間において親魚量は29~175トン、加入尾数は6~112万尾の範囲で大きく変動しており、親魚量と加入尾数との間に明瞭な再生産関係を見いだすことはできない。2009~2015年級群の天然加入尾数は、過去23年間(1993~2015年漁期)の加入尾数の平均値(25万尾)よりも少ない状態が続いており、2015年漁期の漁獲量増加の背景にはふぐはえ縄漁業に好適な海洋環境が続いたことが影響したと推察され、2015年漁期は通常の漁期年よりも漁獲割合が高まった可能性が強い。資源水準は過去23年間の最高値860トンを三等分し、高位、中位、低位とした。2015年漁期の資源量は269トンで水準は低位、動向は直近5年間(2011~2015年漁期)の資源量の推移から増加と判断した。

▲このページのTOPへ

管理方策

5年後(2021年漁期)の親魚量を100トン以上に回復させることを管理目標とし、F20%SPRを管理基準として2017年漁期ABCを算定した。当該管理基準の下での親魚量は、2021年漁期にはFtargetでは225トン、Flimit では180トンに回復すると予測された。低位水準にある本系群の資源状態を早急に回復させるためには、資源管理指針・計画の下で実施されている未成魚の獲り控えをさらに徹底するなどの堅実な資源管理に取り組む必要がある。加えて、天然魚の加入状態が好転し資源量が回復するまでは、現在の種苗放流規模を維持することにより、加入量の不安定さを緩和する措置を継続する必要がある。
管理基準 Target/Limit F値 漁獲割合
(%)
2017年
漁期ABC
(トン)
Blimit=
親魚量5年後
(トン)
F20%SPR Target 0.27 27 48 225
Limit 0.34 32 58 180

▲このページのTOPへ

資源評価のまとめ

管理方策のまとめ

▲このページのTOPへ


執筆者:鈴木重則・山本敏博・黒木洋明・市野川桃子

資源評価は毎年更新されます。