平成29年度資源評価報告書(ダイジェスト版)
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標準和名
| ズワイガニ |
 |
学名 |
Chionoecetes opilio |
系群名 |
北海道西部系群 |
担当水研 |
北海道区水産研究所 |
生物学的特性
寿命: |
不明(10歳以上) |
成熟開始年齢: |
不明 |
産卵期・産卵場: |
不明(本海域内で産卵している可能性が高い) |
食性: |
成体は主に甲殻類や二枚貝、クモヒトデ、この他に魚類、イカ、ゴカイ、巻貝など |
捕食者: |
マダラ |
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漁業の特徴
本資源は、主にずわいがにかご漁業(かにかご漁業)で漁獲されている。現在、小樽および稚内を根拠地とする3隻が、かにかご漁業の知事許可を得ている。この3隻の操業海域は異なっており、小樽根拠の1隻は積丹海山とその北の忍路海山を、別の1隻は忍路海山と武蔵堆を、稚内根拠船は武蔵堆をそれぞれ漁場としている。かにかご漁業の操業期間は、11月1日~翌年4月30日である。甲幅10cm(農林水産省令は9cm)以上の雄のみの漁獲が認められている。
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漁獲の動向
漁獲量は、1986年漁期(7~翌年6月)は80トンを超えていたが、1987年漁期以降は減少して19~43トンで推移しており、2016年漁期は29トン(かにかご漁業:23トン、その他刺網等:6トン)であった。漁獲努力量は2000~2008年漁期には横ばいであったが2009年漁期以降は減少傾向にあり、2016年漁期は7,000カゴであった。2009~2016年漁期の漁獲量は低迷しているが、これは漁獲努力量が減少したことによるものである。
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資源評価法
操業日誌の解析によれば、漁場により漁具浸漬日数等の操業形態が異なる。そのため、各漁場の単位努力量当たり漁獲量(CPUE)を個別に算出した。漁獲努力量(カゴ数)は海況や単価の影響を強く受けるため、中長期的なCPUEの変動を総合的に見て本資源の水準と動向を判断した。
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管理方策
1997年漁期以降、漁獲量は19~43トンで安定しており、近年の資源状態も比較的高い水準に維持されていることから、現状の漁業はズワイガニ資源を持続的に利用していると判断される。資源を持続的に利用するために現状の漁獲を維持することを管理方策とし、1997年漁期以降の最大漁獲量である43トンを2018年漁期のABCとして提示する。知事管理の下で許可隻数等が制限されており、今後も極端に漁獲努力が増加するとは考えにくいことから、近年の漁獲を継続することで資源は維持できると考えられる。
|
漁獲シナリオ (管理基準) |
Target /Limit |
2018年 漁期ABC (トン) |
漁獲割合 (%) |
F値 (現状の F値からの 増減%) |
2023年漁期の 親魚量 (トン) (80%区間) |
確率評価(%) |
2023年漁期に 2016年漁期 親魚量を維持 |
2023年漁期に Blimitを維持 |
1997年漁期以降の 最大漁獲量 (C1997) |
Target |
34 |
- |
- |
- |
- |
- |
Limit |
43 |
- |
- |
- |
- |
- |
定義
- Limitは、漁獲シナリオの下で許容される最大レベルの漁獲量、Targetは資源変動の可能性やデータ誤差に起因する評価の不確実性を考慮し、漁獲シナリオの下でより安定的な資源の増大または維持が期待される漁獲量である
- ABCtarget = α ABClimitとし、係数αには標準値0.8を用いた
- 2018年漁期は2018年7月~2019年6月
コメント
- 本系群については、既存の情報からは資源量の算定が困難なことから、漁獲係数、漁獲割合、将来漁獲量の算定、定量的な評価は行っていない
- ずわいがにかご漁業許可に際していくつかの制限があり、このことが漁獲努力量および漁獲量の制限に機能している
- 漁業規模が小さく、調査情報もほとんどないことから、ABCに高い信頼性を確保することは困難である
- 海洋生物資源の保存及び管理に関する基本計画第3に記載されている本系群の中期的管理方針では、「資源の維持若しくは増大を基本方向として、安定的な漁獲量を維持できるよう、管理を行うものとする。」とされており、漁獲量を維持することで、資源を持続的に利用可能であると考えられる
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資源評価のまとめ
- 資源水準は中位、動向は横ばい
- 近年は比較的高い水準のCPUEが維持されている
- 各漁場別のかにかご漁業によるCPUEから、中長期的・総合的に資源状態を評価
管理方策のまとめ
- 資源を持続的に利用するために現状の漁獲を維持することを管理方策とした
- 現状の漁業はズワイガニ資源を持続的に利用している
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執筆者:石野光弘・濱津友紀・森田晶子・山下紀生・山下夕帆・磯野岳臣