平成29年度資源評価報告書(ダイジェスト版)
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標準和名
サワラ
学名
Scomberomorus niphonius
系群名
東シナ海系群
担当水研
西海区水産研究所
生物学的特性
寿命:
6歳程度
成熟開始年齢:
1歳(一部)、2歳(大部分)
産卵期・産卵場:
3~6月、東シナ海の中央部~中国沿岸
食性:
生活史を通じ魚食性が強い
捕食者:
不明
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漁業の特徴
本系群は、1990年代半ばまで東シナ海における大中型まき網(まき網)によって主に漁獲されてきた。しかし2000年以降、東シナ海のまき網による漁獲量は低下し、日本海の定置網による漁獲量が、我が国の漁獲量全体の半分以上を占める程度にまで増加している。我が国の他、中国、韓国によっても漁獲されている。
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漁獲の動向
我が国の漁獲量は、1980年代には2万トン前後で推移していたが、1997年には822トンまで落ち込んだ。 1998年以降は東シナ海に加え日本海における漁獲量が増加し、2016年の我が国の漁獲量は1.5万トンであった。日本海の漁獲量は全体の80%を占めている。一方、韓国の2016年の漁獲量は、3.6万トンであった。 中国の漁獲量も、1990年代後半に増加して、2000年以降は40万~50万トンで推移しており、2015年は43万トンであった。中国の漁獲物の中にはサワラ以外の近縁種が含まれると考えられるが、その割合は不明である。
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資源評価法
資源水準は、日本と韓国の合計漁獲量に基づいて判断した。動向は、日本の漁獲量、東シナ海で操業するまき網の単位努力量当たりの漁獲量(CPUE)、日本海における大型定置網のCPUE、韓国の漁獲量の相乗平均値を資源量指標値として判断した。中国の漁獲量は、我が国漁獲量よりもはるかに多いが、その漁獲物の内容が不明なため使用していない。
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資源状態
資源量指標値は、1997年に最低となった後2000年にかけて増加し、その後増減しながら比較的高い水準で推移している。資源水準は、過去33年間(1984~2016年)における日本と韓国の合計漁獲量の最大値と最小値の間を三等分し、4万トンを高位と中位、2.5万トンを中位と低位を区分する基準値とした。2016年の日本と韓国の合計漁獲量は5万トンであることから、水準は高位、最近5年間(2012~2016年)における資源量指標値の推移から、動向は横ばいと判断した。
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管理方策
日本に比べて韓国と中国の漁獲量がはるかに多い現状で、日本のみで資源管理を行っても管理の効果が薄い可能性はあるが、資源水準および資源量指標値に合わせて漁獲を行うことを管理目標として2018年ABCを算出した。東シナ海および日本海における資源状態の正確な把握や資源管理には、サワラを多獲している関係国間の協力が必要である。
管理基準
Target/Limit
2018年ABC
(百トン)
漁獲割合
(%)
F値
(現状のF値からの
増減%)
1.0・C2016・1.01
Target
118
-
-
Limit
148
-
-
Limitは、管理基準の下で許容される最大レベルの漁獲量、Targetは、資源変動の可能性やデータ誤差に起因する評価の不確実性を考慮し、管理基準の下でより安定的な資源の維持が期待される漁獲量
ABCtarget=ABClimit・αとし、係数αには標準値0.8を用いた
ABC算定規則2-1)により、ABClimit=δ
1
・Ct・γ
1
で計算した
δ
1
には1.0(高位水準における推奨値)、Ctには2016年の漁獲量を用いた
γ
1
は、γ
1
=1+k(b/I)で計算し、kは係数(標準値の1.0)、b(6.7)は資源量指標値の傾き、I(1297.7)は直近3年間(2014~2016年)の平均値である
ABCは日本の漁業に対する値
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資源評価のまとめ
日本と韓国の漁獲量より水準を、資源量指標値の推移から動向を判断した
資源水準は高位、動向は横ばい
管理方策のまとめ
資源水準および資源量指標値に合わせて漁獲することを管理目標としてABCを算出した
資源状態の正確な把握や資源管理のためには、関係国間の協力が必要である
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執筆者:高橋素光・依田真里
資源評価は毎年更新されます。