資源量推定等高精度化推進事業

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資源量推定等高精度化推進事業

調査の目的

本事業は、我が国周辺の主要水産生物の資源評価に対して外部の専門家から問題点について指摘を受けた内容(いわゆる、ピアレビュー)について、横断的な対応を行うことを目的としています。対応を行うことで、現状よりも資源評価の推定精度を高めることができ、国の資源管理施策として実施している漁獲可能量(TAC)管理等がより高い精度で行えるようにすることが目的です。

調査内容

本事業は大きく3つのパートに分かれます。それは、I資源評価の基盤的なデータの高精度化、II資源評価モデルの開発、およびIIIピアレビュー会議です。IとIIについては、さらに細分化して実施します。それは以下の通りです。

  • I-A(生物学的特性の整備):➀年齢査定が困難な種について、より高度な方法を開発することで年齢―成長関係の把握を行います。➁・➂長期的な年齢や繁殖特性のデータセットを整備し資源評価のためのパラメーターの整備の基礎とします。➃対象生物の分布・移動に関する知見の整備を行います。
  • I-B(年齢別漁獲尾数の整備):現状よりも緻密なAge-Length Key(年齢別漁獲尾数を求めるための年齢‐体長キー)の設定方法の開発を行います。過去からの体長組成や銘柄組成に関するデータを整理し、より合理的な年齢別漁獲尾数の推定を行います。
  • I-C(自然死亡率の整備):国内外の自然死亡率に関する情報を整備し、我が国の資源評価対象種への適用について情報を整備します。
  • I-D(資源量指標値の整備):資源評価のために必要な指標値について海洋環境との関係を考慮して開発を行います。
  • I-E(画像解析データの活用):画像解析技術を活用し、大量のデータを処理する手法を開発し、資源評価の精度を向上のための整備を行います。
  • II-1(データの質量に応じた柔軟な資源評価モデル・管理手法の開発):不確実性を組み込める状態空間モデルをはじめとして,データの質や量に応じて利用できる資源評価モデルの適用可能性を検討する。
  • II-2(統合モデルの適用):国外で多く使われている統合モデルを国内の資源評価に適用するための条件設定などの整備を行います。
  • II-3(複数種を考慮した評価モデルの開発):捕食―被食関係に代表される、種間相互作用を考慮した生態系モデルを構築します。

事業のスキーム

過去の事業

調査の目的

本事業は、我国周辺の主要水産資源の変動要因を調査・分析することにより、加入量・資源量等の推定精度を高め、国の資源管理施策として実施している漁獲可能量(TAC)管理等の科学的基礎である資源評価の精度向上を図ることを目的としています。なお、本事業は平成28(2016)~令和5(2023)年度に実施されました。令和6(2024)年度からの資源量推定等高精度化推進事業は、令和5年度までの事業成果とピアレビューによる資源評価の高度化へ向けた指摘を受けた内容として、実施するものです。

調査内容

本事業の目的を達成するために、水産資源の変動に影響を与えるプロセスとして考えられる海洋環境や生態系の変動が調査対象とする資源の生態特性に与える影響を調査します。 資源変動に繋がる海洋環境や生態特性として着目するものは魚種・系群により異なりますが、以下のような課題を設定し、調査船調査、飼育実験、長期データの解析、海洋モデルを用いた解析等の調査・研究を進め、資源変動メカニズムの解明へと繋げます。 また、得られた成果をより精度の高い資源評価へと発展させることを目指します。

  1. 未成魚や産卵親魚の移動・回遊・栄養状態の変動
  2. 産卵親魚の栄養状態等に起因する卵稚仔の質的変化(母性効果)
  3. 産卵場形成(位置・季節)の変動
  4. 卵仔稚魚期の輸送・成長・生残に関わる海洋環境の変動
  5. 仔稚魚の成長・生残に関わる餌料生物の変動
  6. 仔稚魚の生残に関わる捕食者の変動

調査対象

調査対象魚種・系群は下記のとおりです。

調査対象/魚種 系群 資料
スケトウダラ 太平洋系群
日本海北部系群
マイワシ 太平洋系群
マサバ
カタクチイワシ
マイワシ 対馬暖流系群
マアジ 対馬暖流系群
太平洋系群
スルメイカ 秋季発生系群
冬季発生系群
ブリ
トラフグ 日本海・瀬戸内海・東シナ海系群
ズワイガニ 日本海系群A海域
ベニズワイガニ 日本海系群
複数種アプローチ
魚種横断的な資源評価高精度化の検討
日本周辺の海流系と水産資源

調査の目的

本事業は、海洋環境等による水産資源の変動機構の解明のための調査・研究を行い、水産資源の適切な管理に資する資源評価の精度向上を図ることを目的としています。  特にTAC(漁獲可能量)対象魚種等について、海洋環境の変動がどのようにこれらの資源に影響を与えるのか調査船調査、飼育実験や海洋モデルを用いた解析等によって資源変動に関する知見の充実を図り、資源変動メカニズムの解明及び中長期的な資源変動を明らかにします。これらの成果をもとに、海洋環境の変化に応じた資源変動を考慮し、精度の高い資源評価に繋げることを目指します。なお、本事業は平成18(2006)〜平成22(2010)年度に実施した資源動向要因分析調査事業の成果を受けて新しい課題に対応するために、平成23(2011)〜平成27(2015)年度に実施されました。

調査内容

主な調査内容・手法は下記の通りです。

  1. TAC対象魚種等主要資源と海洋環境の長期データの整理・蓄積と時系列解析を行う
  2. 対象魚種の資源量変動に関する仮説を設定する
  3. 調査船調査により特定海域における海洋環境と対象魚種の生物特性を把握するとともに、飼育実験を用いて仮説を検証する
  4. 海洋動態モデルを用いて卵仔稚魚の輸送と新規加入のメカニズム解明を行うとともに、加入量予測精度の向上に資する

調査対象

 調査対象魚種・系群 →